市電ひろばを見に行く(その3)

市電ひろば
 市電ひろばの続きです。これは広軌1形と呼ばれる京都市電開業時の車両29号です。こちらは建物の中に保存されていて、その建物の壁には京都市電の写真のパネルが掛けられています。恵まれた状態で保存されているのですが、訪れる人はあまり多くありませんでした。
 29号が載っている線路は、動態保存のN電の軌道と三線式で接続され、この建物のすぐ横のN電の乗り場のところまでは引き出せるようになっています。そうした意図はよくわかりません。たんに搬入の便宜を図っただけかもしれませんが、工事中見に来たときは、この29号は外のN電乗場のところ置いてありました。
市電ひろば
 こちらは西側で案内所になっている2001号です。2000形は京都市電最後の新製車両で、トップナンバーのこの2001号だけが京都に残り、あとの5両が瀬戸内海を渡って伊予鉄道に行きました。松山では冷房化され、車齢50年になろうとする現在も主力の一翼を担っています。
 案内所の2両は、屋根も囲いもなく青空展示になっています。風化による劣化の懸念がありますが、京都に残ったほうがよかったのか、松山に行った方がよかったのか、簡単に決められないように思いました。この画像を撮影したときは、案内所の昼休みでした。
市電ひろば
 最後が水族館の前の935号です。今、水族館は人気スポットなので、前の道の人通りも多く、足を止める人や写真をとる一般の人も見受けられました。
 長年非公開で保存されていた京都市電が日の目を見るということで、これはこれでいいのかなと思うのかと思っていましたが、実際に見て、そう簡単に割り切った感情を抱いたわけではありませんでした。さりとて私にどうにかできる能力はあらゆる意味でないので、たまに訪れて維持管理を捻出するためと言われる収益源にわずかばかりの貢献をすることしかできません。市電ショップで買った抹茶のドロップをなめながら、SLスチーム号の汽笛が聞こえる京都の狭い路地を駅に向かって歩いていて、そんなことを思いました。