岡崎 電車通り

岡崎 電車通り

 趣味活動ではない所用で、名古屋の方へ行ってきました。ついでに名鉄東岡崎駅で降りてみました。岡崎市には、かつて名鉄岡崎市内線という路面電車があって、電車が行き交っていた道路は今でも「電車通り」と呼ばれています。それを見たかった、ただそれだけのことです。
 他の街でも、今は路面電車は走っていないけれども、かつて走っていた通りを「電車通り」と呼ぶところがあります。有名なのは川崎市の「市電通り」ですね。岡崎も川崎も通称として呼ばれているだけではなくて、画像のような道路標識にも記載されている、「公式の愛称」になっています。
 名鉄岡崎市内線は官営鉄道の駅と市街地が離れていたため連絡を取った馬車鉄道を起源とする、典型的な路面電車の成立過程を経て、三河鉄道から名鉄となり、昭和37年まで運行されました。ただし、車両は近代化されることなく、最後まで木造の2軸車が中心であったといいますから、名鉄の経営戦略上は早くから見切られていたようです。それでも、路線としては時代によっては、多様なニーズがあったようで、岡崎駅では貨物の受渡しも行われていて、電動貨車が貨車を引っ張って「電車通り」を闊歩する写真が残されています。
 マニアの間では有名な福岡町のバス専用道路を別にすると、岡崎に路面電車があったことを思い起こさせるものはほとんどありません。ごく最近まで、河川に軌道の橋脚が残っていたようですが、今回調べたら、撤去されたそうです。電車がなくなって40数年、この「電車通り」という道路の名称は、数少ない電車の忘れ形見となっています。歩道橋の上から、「電車通り」を走る車を眺めながら、今、名前だけじゃなくて、実際に電車があったらどうなっているんだろうと、ふと考えてしまいました。
 

名鉄岡崎市内線―岡崎市電ものがたり (RM LIBRARY (48))

名鉄岡崎市内線―岡崎市電ものがたり (RM LIBRARY (48))