堺のLRT中止確定(その2)

阪堺電気軌道 モ503号

 予定どおり、昨日、堺市長南海電気鉄道の社長が会って、堺市がLRT計画の中止、南海電気鉄道阪堺電気軌道LRTの経営予定者を解除、阪堺線の公有民営化の撤回を申入れ、南海側がこれを了承したとのことです。
 市長が計画中止を正式申し入れ…どうなる、堺市のチンチン電車 産経新聞
 阪堺線の経営支援策を協議へ──LRT中止、南海社長と堺市長会談 日本経済新聞
そこで、阪堺線の存廃問題がどうなるかですが、これについては堺市は従来どおり支援策を検討します、秋ごろまでには結論ということだそうで、とくに踏み込むこともなかったようです。
 記事にも書いてありますが、阪堺線の存廃問題は昨日今日はじまったことではありません。もう5年以上前から「検討」も「協議」も行われて、その成果が今回撤回された阪堺線の公有民営化であるわけで、それをすべて反故にして、新たに市役所にプロジェクトチームができたから、いい知恵が浮かぶとも思えませんし、拙速な結論は出せないと言うけれども、どのような手続きで「市民の理解」を得ようとしているのかも示されまていません。つまり、検討とか議論とか市民の意見とか抽象的にはもっともな言葉が並ぶけれども、堺市が具体的に何をしようとしているのかが見えないように思います。
 阪堺線の存廃問題が持ち上がった平成15年以降、軌道について上下分離(公有民営)方式が可能になり、地方公共団体が資産を買取る場合の補助制度ができました。前者を使ったのが富山の環状線で、後者を使ったのが福井鉄道ですね。そういう環境の変化があって、いい条件になってきていたわけです。堺市は、赤字の一部補填などの支援をしてきていますが、それではこの際、本質的な解決にはならないでしょう。私は、軌道事業者の経営的なインセンティブを働かせる意味でも、設備投資に伴う減価償却を軽減させる意味でも、公共による支援の手法としては上下分離方式が最善だろうし、それ以外にはまとまるような支援策はないだろうと思います。しかし、市長さんは記者会見でも、上下分離方式には消極的な態度を示しておられるので、その選択肢は採りえないのだろうと、じゃあこの話の着地点はどこかということが、よく分からないのです。
 もちろん市長さんの頭の中にはあるんでしょうね。たんなる引き伸ばし作戦でないのであれば。