京阪びわこ号を見に行く

京阪電気鉄道63号 びわこ号
 今日は、京阪電車の寝屋川車両基地で行われたファミリーレールフェア2009へ行って、「びわこ号」を見てきました。前から一度は実物を見ておきたいと思っていた車両です。大阪と浜大津の間を直通運転した日本初の鉄道と路面電車の直通車両であり、さらに日本初の連接車であって、日本の鉄道史に残る車両と言っても言い過ぎではないでしょう。現在は、3両製造されたうちの1両63号が、京阪寝屋川車両基地で静態保存され、このようなイベントの際に、一般公開されています。
 朝10時過ぎに京阪電車寝屋川市駅に到着すると、南口からゾロゾロと人の列が伸びています。これほんまにみんな車庫行くんかいなと思ったら、やっぱりそうでした。15分ほど歩いて、寝屋川車両基地に到着すると、広い敷地内でいろいろなイベントや展示が行われていて、多くの家族連れで賑わっていました。
 とりあえずできるだけ人を避けて撮ったのを1枚。展示スペースの関係で、側面がよく写せませんが、4つの扉のうち、前後2つが鉄道線の駅の扉、中の2つが路面電車の電停の扉になっています。流線型のスタイルは、後の車両に影響を与えました。参考までに書いておくと、後ろに見えている青い電車は、構内入替車ですが、元は京津線で使われていた72号だそうです。
京阪電気鉄道63号 びわこ号
  この画像は運転台です。このシートの端は、マニアの特等席ですね。ニス塗りの車内は美しく、工芸品のような趣きすら感じられます。車内にも「こわび」のプレートがあって、直通運転が行われていた当時のものと思われる広告ポスター類が展示されていました。
 特別の車両を用意して浜大津まで乗り入れたということは、当時の京阪電車にとって、琵琶湖観光が企業の経営戦略上、大きな位置を占めていたことを物語ってもいるでしょう。
京阪電気鉄道63号 びわこ号
 展示されていたパネルから、略歴をメモしておきます。京阪電気鉄道60形は、昭和9年に3両が日本車両で竣工し、同年4月に天満橋浜大津の間を72分で直通運転を始めます。太平洋戦争後、京津線へ移管され、その後もスキー列車などで、昭和36年まで京津線から京阪本線への直通運転を行いましたが、昭和42年から同45年にかけて廃車となります。昭和55年にこの63号が修復保存展示され、平成12年から寝屋川車庫で保管されています。
 この画像は、連接部分の台車と幌です。 
京阪電気鉄道63号 びわこ号
 連接部分を車内から見ると、このようになります。幌の内側に筒状の板があって、連接部分とおなじように回転するようで、他では見たことのない構造となっています。
 京阪本線高速鉄道へと姿を変えていったこと、そして太平洋戦争の時期と重なったことで、びわこ号が本来の製造目的である大阪と琵琶湖の直通として本格的に活躍した期間は、10年足らずだったようです。それでも、「びわこ号」の独創性と先進性には、目を瞠るものがあります。「伝説の車両」との対面でした。