堺のLRT計画 近況

阪堺電気軌道 モ165号

 昨年末に基本計画を公表し、地元説明を行ってきた堺市LRT計画ですが、開業延期、計画見直しやむなしというところまで追い込まれています。
 LRT開業見直しへ 「説明、時間かかる」 朝日新聞
 LRT開業延期 堺市、住民の合意得られず 産経新聞
 LRT計画 「選挙までに修正案」 読売新聞(google キャッシュ)
 地元説明会に関しては、2月に行われた分のテープ起こしのような詳細な議事録が堺市鉄軌道推進室のサイトに掲載されています。興味のある方はお読みください。それをざっと読んでみたんですが、そんなに極端な内容の質問は出ているようには思えない、言い方を変えると「想定の範囲内」の質問ですが、あまり受け答えがかみ合っていない印象を受けます。
 複線の軌道を歩道側に寄せるという計画は、「志の高さは買いたいが・・・」とか書いた記憶がありますが、もともと沿道利用の制約が大きい案であることが分かっていたはずです。であれば、荷捌きにしろ交通規制にしろ緊急自動車の運行にしろ、沿道の住民の人たちの立場からのそういうことへの対応を事業者としてどう考えるかという案がセットで説明されてはじめて、LRTの「事業説明会」が成り立つというべきでしょう。そこを今後のご相談にしてしまうから反発を受けるわけで、昨年末に出てきた案は、関係者の意見を踏まえた結果だというから、それなりに事前調整が行われているのかと思いきや、現実には、それほど周到な話でもなかったようです。どこの「関係者」の意見を聞いたのか。まったく残念なことです。
 今度市長選挙があって、現市長も再選を目指すようなことを言っています。無理に進めないという背景には、当選住民参加の法定協議会を作らないと、国の補助を受けられないということがありますが、市長選挙も意識されているでしょう。市長は「選挙までに見直し」ということを言っているようですが、これも微妙な話で、「住民の意見を取り入れ」、見直した案を掲げて現市長が当選したということになれば、それはそれでLRT計画も一定信任されたといえなくもないわけですが、変に争点になって、LRT反対を掲げる候補が当選したりすると、LRT計画は現市長と命運を共にすることにもなりかねません。どうせ選挙でLRTを言うのなら、市長さんには、政治家として、「こんな街」を造ります、そこでLRTは「こんな役割」を果たしますということを、地に足をつけつつ、夢を持って語ってもらいたいものです。そういうのがないから、何も始まらないように思いますね。
 新聞記事によると、堺東駅堺駅に関しては計画の見直しに伴う開業延期と堺駅〜堺浜の先行着工というのが今後の見通しのようです。それはそれでいいのかもしれないが、気になるのはもともと堺市域からの撤退を表明していた阪堺電車が、LRT計画延期となった場合にどうなるかということです。そこまで持たないという話になると、計画見直しから断念に繋がりかねない、大きな危機感を持たざるを得ません。
 ずいぶん時間をかけてきたのになあ…というのが、正直な感想です。