福井鉄道再建問題 その後の動き(その12)

福井鉄道 803号

 タイトルについての前に16日に起きた脱線事故についての続報からです。
 福鉄脱線 レール補修始まる 『全面開通の時期不明』 中日新聞
原因は依然不明ということで、福鉄の公式サイトによると、当初4月30日までとされていた事故の発生した渡り線を使わない形での運行が5月11日まで延長になっています。
 では、タイトルに戻って、福井県知事の記者会見の記事を読んでみましょう。
 もんじゅ判断「特別検査も考慮」 知事定例会見  福井新聞
今後の予定としては、官民協議会の次回開催は連休明け、議題は増資の使途や資金繰りについて、5月1日には県と3市の副市長と商工会議所が協議するとのことです。あと知事の発言として、「(県に対して)陳情するような問題ではない」、「公営企業として(福鉄を)経営しているわけではない」、とあって、事業者自ら候補者(スポンサーという意味かな?)を選ぶのが基本だそうです。
 今までの流れから、福井県の立場で「行政側の論理」を少し考えてみましょう。

  • 新会社への経営には参画しない。 (→ 経営責任は負うつもりはない。)
  • 理由のつく範囲内でのお金は出す。 (→ 債務超過は民間会社の経営問題で、救済対象ではない。)
  • 福鉄に関しては、基本的に「市」の問題 (→ 新幹線や並行在来線があるので、福鉄まで面倒を見切れない。)

こんな感じでしょうか。これをいいとか悪いとかいう筋合いのものではないと思いますが、誰かが何か踏み込まないと、どうにも進まず、最悪、時間切れになってしまうような気もします。時間切れになるとどうなるか。心配しすぎのようにも思いますが、ちょっと示唆的と思えば示唆的な記事があるので、紹介しておきます。先頃会社更生法の適用を申請した福島交通についての記事です。
 福交再生へ―法的整理の内幕 想定外の債務超過 河北新報
退職金の支払いでギブアップしたところが、福鉄と似た事情ですね。福鉄の債務超過時価評価や減損など、会計制度の変更が主な原因であって、そこはちょっと違うと思いますが。知事はスポンサーを自分で探してこいとおっしゃっているようですが、福島交通のようにコンサルタントをスポンサーにつけて会社更生すると、彼らは1円でも多く利益の出せる企業に再生をして、自分たちが投資した以上のリターンを必ず確保するので、結局、不採算路線はバサバサ切られることになるでしょう。福島交通の鉄道線がどうなるかは分かりませんが、福井鉄道に当てはめてみると、バス会社として再建するなら、おそらくスポンサーは付くでしょう。そのときに福武線をどうやって残すか、今の「行政側の論理」ではどうしようもないと言わざるを得ませんが、じゃあ今踏み込むかというと、それも飛躍した発想なのでしょう。