熊本電鉄と熊本市電の都心結節について

熊本電気鉄道 御代志駅

 熊本電気鉄道LRT化して熊本市電と接続しようという、いわゆる「都心結節」については、とても前向きな話で進んでいるかのように報じられてきたのですが、しばらく聞かないうちに雲行きが怪しくなってきました。
 熊電軌道をバス専用道に 熊本市など 都心結節で新案検討へ 西日本新聞
 熊電線路延伸/市など「困難」 朝日新聞
 都心結節検討委:新バスシステムを検討 合志と熊本の市中心部直結 /熊本 毎日新聞
 新バスシステム検討へ 都心結節計画 熊本日日新聞(閲覧には会員登録が必要)
 読んでみると、鉄道と軌道の結節には3案あって、2案は事業採算性が見込めないので不採用、上通りのアーケード内を通る案だけを継続で検討対象とし、新たに、熊本電鉄の線路をバス専用道とする案を検討するということのようです。連接バスを専用道に走らせるBRTとガイドウェイバスが新たな選択肢として浮上しています。
 上通のアーケードに電車を通すということはおよそ現実的ではないと思うので、事実上はバス化案に絞られると見てよいと思います。つまり、熊本電鉄の鉄道線は廃止ということです。渋滞激化ということも却下案の理由として挙げられていますが、やはり採算性の問題が大きいようで、そうであれば、上下分離(公設民営)のようなやり方の検討する、すなわち行政が鉄道をインフラとして整備するというところまで踏み込まない、あるいは踏み込めないというところが、今回の構想の限界であろうとも思います。
 熊電と市電を直通させるためには、軌間の変更が必要であるとか、熊電の施設の老朽化が著しいとか、事業費が膨らむ要素が多くあります。鉄道を活用して沿線をどうしていくかという大きなビジョンが見えないまま、もっぱら「結節」という観点で検討されている限り、結論は見えていると言っていいかもしれません。
 画像は熊本電鉄の終点、御代志駅です。ここは対面で電車との乗り換えが可能で、ちょうど熊本市中心部の交通センター行きのバスが止まっています。あえて熊電をバス専用道にする意味も、正直、図りかねるところです。