路面電車と速度計

土佐電気軌道 591号

 路面電車に速度計必要? 「危険ある」と設置要請 高知行政評価事務所 高知新聞
 高知行政評価事務所というところが、土佐電気鉄道路面電車に速度計を設置させるよう、国土交通省四国運輸局に通知したという新聞記事がありました。
 同事務所が発表しているもとの資料を見てみました。
 路面電車における運行の安全確保及び利用者の利便向上に関する行政評価・監視 総務省高知行政評価事務所
これは前に広電と岡電が速度制限を守っていないと指摘された調査と同様で、その高知版のようです。指摘事項は、横断歩道部分の軌道内のでこぼこ、電停の掲示の不備など事細かにチェックされています。中国地方のときは速度制限を守っていないという指摘だったわけですが、高知でも同じように調べに行ったら、72両中1両しか速度計がされてなくて、よく分からなかったので、このような指摘になったものでしょう。
 全国的に路面電車にどの程度速度計がついているのか、それだけを気にして記録をとったことがないので、検討が付きません。昔の市電は、性能的にもそれほどスピードが出るわけでもなく、もともと速度計はなかったのですが、今でも古い電車を使っているところでも、速度計を取り付けているところはあると思います。本来運転士さんは、速度計がなくともスピードは分かるよう訓練されているはずですが、だからといって広島や岡山での指摘のように、制限速度が守られない場合もあると言われると、「運転士等による運転制限速度の遵守、四国運輸局等による運転制限速度の遵守状況に関する保安監査等の適切な実施に資するため」速度計を取り付けろと言うのも、道理に合わないということではないと思われます。
 新聞記事によると、速度計設置には1両約100万円するらしく、土佐電鉄にとっては痛い出費ですが、予算的に許す範囲で、順次やっていくかざるを得ないでしょう。「必要性」の意味が、どちらかというと、第三者にも把握可能という趣旨が含まれているので、そこに、「安全・安心」に対する時代の要請が反映されているという気がします。