福井鉄道再建問題 その後の動き(その10)

福井鉄道 モハ81F

 先日の記事のコメント欄にも書いていただいているように、月曜日からはじまった福井県議会では、福井鉄道福武線の存続について、様々に取り上げられています。新聞記事から見てみましょう。
 福鉄福武線 存続へ出資者募る 県方針 福井新聞
 支援枠組み決定後 議論 福鉄・新経営陣 中日新聞
 福井鉄道経営再建 県民から出資募る 副知事、存続の枠組みを説明 産経新聞
 各紙がとりあげていることに、福井鉄道に対して、一般企業、住民からの出資を募る考えがあると県が表明したことがあります。記事にあるようにえちぜん鉄道のときもやったし、万葉線でも確か1億円くらい集めたし、富山ライトレールでも一般からの募金による基金をつくりました。今度できるひたちなか海浜鉄道でも住民からの出資を募るという記事を見た記憶もあります。財務体質の強化と「マイレール意識」の醸成を目的にしているようですが、今回の福井鉄道の再建方法だと、行政は出資はしない方針のようなので、いわゆる「第四セクター」とも違う形になるようです。一般市民が出資して株主になるのが理想的ではありますが、「一株株主」が増えると株主総会の運営など煩雑になるので、他で行われているような例では、一般市民から募った募金を行政やNPOを通じて出資する形がとられているようです。福井鉄道の場合どのような形になるのかは分かりませんが、地域の住民が支えている鉄道である証として、住民が出資しているということは、価値があると思います。
 もう一点は、名古屋鉄道に代わる新たな株主についてで、これに関しては一般論での答弁となっており、主体は明確には示されていません。まず存続の枠組みが固めてから経営者を探すということですが、前も書いたように、役所の仕事のやり方として、何のあてもなく枠組みだけ固めるということもあり得ないと思われるので、この点についてはあまり心配していません。ただ、先の事項とも関連しますが、事実上行政が保証する会社であるとはいえ、経営を左右する主要株主が決まらないのに、一般市民等に出資を募るわけにはいかないと思います。物事の進め方の順序だけの話かもしれませんが。
 「福武線存続を!」署名を福井市長へ提出 朝日新聞
 福武線の存続問題は、ここ半年ほどで急に現実の問題になったわけで、ずっと廃止問題がくすぶり、実際に一時的にせよ鉄道がなくなったえちぜん鉄道の場合とは、事情がかなり違います。今回は行政が手早く存続の方向性を示したことも、ある種の安心感となっています。しかし、「危機」という意味では、えちぜん鉄道のときと変わらないと思います。この「危機」が、自分たちの街にとって福武線は何かということを、住民のみなさんが考え、行動するきっかけとなるのであれば、福鉄電車の将来は、きっとよい方向に進むだろうと信じます。