「ペイント電停」について

万葉線 デ7052号

 万葉線の新吉久電停で、電車を待っていた人が車にはねられて亡くなるという痛ましい事故が発生しました。
 段差ない電停で事故 重体の女性死亡 朝日新聞
 「ペイント電停」での安全どう確保 万葉線利用者死亡事故で 北日本新聞
 電停に段差や囲いなし、住民ら再三改善を要望…万葉線事故 読売新聞
「ペイント電停」というのは、北日本新聞が考えたのでしょうか。分かりやすいので、使わせていただくとして、私は完全に誤解していたことにひとつ気付きました。道路交通法でいう「安全地帯」とは、「路面電車に乗降する者若しくは横断している歩行者の安全を図るため道路に設けられた島状の施設又は道路標識及び道路標示により安全地帯であることが示されている道路の部分をいう 」(道路交通法第2条第1項第6号)とされています。私は、アイランド状になった部分だけを「安全地帯」というと思っていたのですが、「ペイント電停」も「安全地帯」なんですね。車が通ってはいけないなどの規制は、アイランド状になっていようが、ペイントだけであろうが同じということになります。
 「ペイント電停」は、万葉線の3箇所の他にもあります。思いつくままに書いておくと広島の小網町、岡山の小橋、中納言、高知にいくつか、あと阪堺の塚西ぐらいでしょうか。いずれも道路の幅員が狭いところばかりです。数年前に岡電の小橋で、市民ホールから帰る高校生が自動車に突っ込まれて、照明設備や車道外に待合所が設置された例がありますが、アイランドの設置までは至りませんでした。
 この電停については、地元からの安全対策が求められていたように書いてある記事があります。それを万葉線、道路管理者、警察等の関係者がどう受け止めていたのかは分かりません。私は道路の幅も狭いし、仕方ないかなと思っていましたが、こういう事故が起こった以上、いや事故が起こらないと分からないのは悲しいことですが、そういう考えは甘かったというほかありません。
 万葉線電停事故/利用者の安全図る対策を 北日本新聞社説
新聞社の社説は、電車の利用者の安全対策とドライバーへ運転マナーを呼びかけています。新聞の読者に対し、交通法規の遵守を訴え、注意喚起することは、おおいに意味があるでしょう。しかし、こういう事故を起こそうとして起こすドライバーはいないわけで、やはりドライバーのエラーがあっても、利用者の安全を確保できるような措置がなくてはなりません。
 今回の事故は、雪が降って有効幅員が狭くなっていて、薄暗い夕方という悪い条件が重なった状況でした。さしあたりの対策としては、電停の照明や電停の存在を示す目立つ標識や電光表示、バリケードの設置、あるいは電停部分の路肩の除雪の徹底などの措置を講じ、そして、すぐにはできなくても、長期的には、単線部分に電停の位置をずらすなどして、電停にアイランドを設置し、「ペイント電停」をなくすことを目標としてほしいと思います。