福井鉄道再建問題 その後の動き(その8)

福井鉄道 モ884+885号

 福武線、上下分離で再生 沿線3市と県 線路用地を取得 福井新聞
コメント欄に書いていただいていますが、福井鉄道の再建に関して、明日の協議会で行政側から提示される案について福井新聞が記事にしています。前回の協議会で出た名鉄が10億円増資後撤退、福武線を含む会社としての福井鉄道の存続に加えて、行政側としては、福井県が一部費用負担のうえ沿線3市が土地を取得し、おおむね10年間の設備投資を県が、運行補助を沿線3市が行うという、いわゆる上下分離方式をとる方針を固めたというものです。この記事によると、名古屋鉄道も含めた合意のうえでの方針であるように書かれています。
 前回の「その7」のときに、福井鉄道という会社を福武線も含めて存続させるには、「上下分離方式を採用して、自治体が福井鉄道から鉄道資産を買い取ることにより、福井鉄道が運行に専念できるようにするなどの抜本的な方策が必要」と書きました。単なる推測ですが、行政側としては、福武線を存続させるためには、上下分離方式を採ることが不可欠という認識を前提にして、そのためにもっとも有利な方法は何かを検討した結果がこのような結論になったのではないかという気がします。ポイントは2つあって、名鉄が撤退する場合に出る10億円というお金と、この記事の一番最後に出てくる、来年度新設される見込みの上下分離方式で鉄道を再生する場合の国の補助を両方を使える再建スキームがこれだということです。
 若桜鉄道 経営再建に向け上下分離方式導入へ 日本海新聞
この記事は去年の年末ごろに載ったもので、若桜鉄道が国が創設する予定の新たな制度を使って、上下分離方式を導入する方針という内容です。今回の福井鉄道上下分離方式についても、この支援制度の適用を念頭に置いているようです。あるいは新たに3セクをつくると、この制度の適用がないのかもしれません。
 残る大きな問題は、名鉄に代わるスポンサーということですが、記事を読むと、かなり細かいところまで関係者で詰めているようだし、福井鉄道は経営が成り立つ会社として再出発できる目途がかなり付いてきたので、現時点で福鉄の株式の引受先は明らかにできないけれども、すでにそれなりの「当たり」は付けてあるように思います。
 細かい課題はまだいろいろあるのでしょうが、おおむね福武線の存続と会社としての福井鉄道の再建の方向は見えてきました。これだけ短期間で福井鉄道再生のスキームがまとまった背景には、えちぜん鉄道をつくったときの経験が生きていることは間違いないでしょう。