宇都宮LRTの近況(その2)

富山ライトレール TLR0601号

 宇都宮のLRT計画は、地元の公共公共交通事業者である関東自動車が反対を表明し、検討会等への参加を拒否するという事態になり、実現へ向けて困難が生じているということについては、以前に書きました。
 宇都宮LRTの近況 - 猫電車日記
その後の経過の中で、LRTの検討会は関東自動車抜きで進め、同社が参加する交通戦略策定協議会とバスシステムの検討委員会を設けるという形で進めることになったそうです。メディアに対して勉強会という名目の集まりを持って、何社かが記事にしています。
 LRT問題で宇都宮市 市民への「説明不足」 産経新聞
 LRT:関東自動車抜きで議論 県と宇都宮市、年内にも会議発足 /栃木 毎日新聞
 市『採算取れる』 大手バスと交渉依然難航 東京新聞
私の思っていることは前回の記事に書いていることと変わりません。つまりLRT導入後のバスも含めた交通体系とその事業採算性についてきっちり考えておくべきではないかということです。しかし今回の記事を読む限り、方向としてはそうなっているようには思えなくて、LRTとバスを別々に検討する委員会ができるわけで、「問題先送り」ともとられかねない内容になっています。
 あまり一般論を言っても仕方がないですが、役所は理由があればできるという発想をしがちのように思います。他方民間会社は実際利益を出せる事業でなければ、すくなくともそういう「読み」がなければ手を出したりはしないでしょう。その根本が違うことが市役所の人には理解されていないように思います。資料をいっぱい作って事業効果は大きいです、偉い先生に委員会でお墨付きをもらいました、住民説明会をやりました、というような通常の役所の事業の進め方では、この問題がうまく解決して、lrtの推進につながるようには到底思えません。
 東京新聞には、「LRTとバスが並行する形で「大通り」を走る可能性もあることを示唆した」などと書いています。「示唆」ですから、どういう言い方をしたのか、実際検討していることなのか不明ですが、そもそも何のためにLRTをつくろうとしているのかについて疑問を抱かざるを得ないような趣旨であり、とても残念に思います。あるいは役所の中でLRTの建設が自己目的化しつつあるのかもしれません。
 画像は富山ライトレールです。こういう問題については、富山は前例として、参考になる部分はないかもしれません。