路面電車と石畳

豊橋鉄道 3702号

 路面電車と石畳というと、例えばポルトガルリスボンとか。いいですね。リスボンのトラム。行ったことないですけども。ヨーロッパの都市は日本の都市とは歴史的な成り立ちが違っているので、無理な相談ではありますが、ああいう暮らし向きというのを、理想のひとつとして描いてみるのも、悪くはないでしょう。
 消えゆく風情ある石畳 富山の市内電車、車通過で徐々に傷み 富山新聞
富山の路面電車の石畳が減少を続けていて、全長の1割700mだけになっているそうです。1970年ごろまでは、ほとんどが石畳だったものの、自動車が走るので割れる石が増える、保守が容易であるなどという理由から、コンクリートアスファルトを軌道の上にかぶせるやり方が主流になっており、現在石畳が残る3箇所もいずれは補修の際に消えるだろうということだそうです。
 日本国内でも採用するところが増えているインファンド工法では、従来の枕木と敷石で線路を支持するというやり方と根本的に異なって、成型されたコンクリートに線路をはめて、樹脂で固定するようなやり方ですから、当然、石畳とは無縁です。技術の進歩という面からも、石畳は姿を消す運命にあるといえるでしょう。
 日本の路面電車にどれくらい石畳が残っているのか、残念ながら正確な数字は分かりませんでした。ごく感覚的にいうと、やたらに見かけはしないけれども、そんなに珍しいわけでもない気がします。事業者によって、例えば軌道改良を積極的にやった万葉線なんかはかなり減っているでしょう。長崎電気軌道の浦上車庫にも、はがした石がたくさん積んであった記憶があります。
 石畳にノスタルジーを感じる向きは少なくないと思います。合理的ではないかもしれないけれども、石畳の区間を残すことによって、街のシンボルに育てるというのもひとつのやり方かもしれません。今日画像は豊橋鉄道の東田の坂道です。何となくここが思い浮かんだので貼ってみました。