神戸のLRT(その2)

広島電鉄 1104号

 今年の春先にこういう記事を書きました。
 神戸のLRT - 猫電車日記
そのときの神戸新聞の記事では、今年の秋に神戸市内中心部へのLRT導入のための社会実験を、バスを走らせて行うという内容でした。季節が進み夏が終ったところで、この社会実験の具体的な計画が明らかになっています。
 神戸市、自家用車の市中心部への流入抑制目指す社会実験 日本経済新聞
 循環バスを試験運行 神戸市が中心部で来月18日から 産経新聞
神戸市役所からのプレスリリースはこちら。
 交通社会実験(KOBEST2007)の実施について 神戸市役所
 10月18日〜11月14日に「KOBESTちょいのりバス」という循環バスを異人館街〜旧居留地の約3kmのルートで走らせる計画で、運行時間帯は午前10時〜午後7時(金、土曜日は午後9時)、運行間隔は10分おき、バス停は10箇所とのことです。料金は100円で、PiTaPaを提示すれば無料、駐車場利用者が駐車券を提示した場合は50円ということだそうです。
 これらの記事を読むと、春先に神戸新聞が書いていたようなLRT導入を前提にした実験ではなくて、市街地での回遊性向上と地域活性化、自動車の流入抑制による環境対策が前面に打ち出されています。日経の記事にこそ、「将来、市内に新型路面電車(LRT)や自家用車を締め出すトランジットモールを導入する可能性を探る」とされていますが、公式発表ではそこまで踏み込んだ記載はなく、わずかに「一部区間において仮設バスレーン」という部分にほのかにLRTを感じられなくもない程度だし、産経新聞の記事では、「実験結果はバス路線の見直しなどに反映する」とされているだけです。
 神戸の中心市街地である三宮とか元町は、地方都市の商店街のように来客の足を大きく自動車に依存しているわけではありません。東西方向の鉄道は発達していて、それが人を連れてくるわけですが、その分市街地内部の回遊性という意味では、不便な面はあるでしょう。だから今回の実験は面白いと思います。とくに他の公共交通機関との連携の促進を、運賃無料という形で示そうとするところなど、注目してよいと思います。ただ、これが将来のLRTへの布石となるのかというと、ちょっとよく分からないですね。こういうバスを走らせてうまくいけば、バスを定期運行すればいいんじゃないかと、それだけのことのような気がします。何十億か、もう1桁上かもしれませんけど、それだけの費用を投じて路面電車を走らせるだけの必要性は感じられません。でも面白そうだから、実験がはじまったら見に行ってみることにします。
 今日の画像は10年くらい前の広電の神戸市電です。この1104号はもう廃車になってしまいました。もちろん私の趣味的には神戸に市電が復活したらうれしいですよ。言うまでもないと思いますが。