鹿児島「市電無料の日」

鹿児島市電 602号

 鹿児島のやまももさんが、ブログで鹿児島で「市電無料の日」の計画があることを書いておられました。
 鹿児島天文館の「市電無料の日」の計画  ポンコツ山のタヌキの便り
鹿児島の天文館の商店街が、イオンの大型ショッピングセンターの進出に危機感を抱き、天文館に近い電停で降りたお客さんを対象に「市電無料の日」ができないかと検討しているというのです。記事を探してみました。
 広がる波紋:イオン開業を前に/2 天文館、団結で対抗 /鹿児島 毎日新聞
 イオンのショッピングセンターというのは、谷山の方、市電の電停でいうと上塩屋から1kmくらい海側にできるもので、10月6日オープンだそうです。
 http://www.aeon-kyushu.info/kagoshima/
ジャスコを中心に170の専門店が入るとのことで、この手の郊外型のショッピングセンターとしては、全国的に見ても最大級でしょう。他方、郊外型大型店の進出、JR鹿児島中央駅の「アミュプラザ鹿児島」のオープンなどの影響で、天文館の買物客は流出し、歩行者の平均通行量が2002年から3割減ったそうです。
 広がる波紋:イオン開業を前に/3 規制緩和に沈む商店街 /鹿児島 毎日新聞
この記事は連載の続きで、大規模小売店舗立地法(新法)による規制緩和で既存商店街が崩壊の危機に瀕し、「まちづくり3法」や改正都市計画法などでの大規模店舗の制限が行われようとしているけれども、「時既に遅しの感は否めない」との見方が披露されています。
 規制緩和というのは一般論として好ましいことではあるし、時代のニーズに応じた業態の変化ということもあるでしょう。しかし、商業施設は生活に不可欠なものであって、そういう意味では市電のような公共交通機関と類似した面があり、街づくりの核となるものとして、一定の秩序のもとで計画性を持ったものとして考えていくべきだろうと、基本的にはそう思います。
 鹿児島の「市電無料の日」が実現するかはまだよくわかりません。いつも思うことですが、人々は、電車に乗って行きたい場所があるから電車に乗るわけで、電車マニア以外は電車に乗りたいからどこかへ行くわけではありません。たまたま今回のイオンのショッピングセンターは市電の沿線から近くはないけれども遠くもないところにあるから、市電を利用して行く人もあるかもしれないけれども、天文館のような市電沿線の集客力が落ちることが、市電の乗客減につながることは明白だろうと思います。街づくりとして本来どうあるべきかはともかく、こういう事情なので、この際、天文館の商店街と交通局が連携して、「市電無料の日」をぜひ実現してほしいと思います。