呉市電の保存車を訪ねて

呉市電 1001号
 夏の青春18きっぷは、実質今日が最終日ということで、バタバタと広島へ日帰りで行ってきました。今日はいつもと違って、広島の街に出る前に、呉ポートピアパークに保存されている呉市電1001号に会って来ました。
 1967年に廃止になった呉市電は、一部の車両が仙台、岡山、松山に譲渡されました。伊予鉄道には1000形3両が譲渡され、改番されずに1001号〜1003号として松山の街を走りました。伊予鉄道には同じ時期に同じアルナ車両で製造された姉妹車が在籍していたこともあり、パッと見ると生え抜きの電車と見分けが付かないほど、よく馴染んでいました。しかし、確か2000年くらいだったと思いますが、南堀端で電車どうしの衝突事故に遭った1003号が復旧されることなく廃車となり、その後超低床車の導入と入れ替わりで1002号が廃車、最後の1001号が2004年2月末で引退すると、松山の呉市電は姿を消してしまいます。
 しかし、2004年7月に1001号が里帰りを果たします。他社に譲渡された車両が引退後里帰りを果たすことはときどきありますが、幸運なことには違いなく、塗装を塗り替えて、ヘッドライトを移設したり、呉市の市章を取り付けたりと呉市電時代の姿への復元が行われ、呉ポートピアパークに展示されました。
 モハ「1001号」 伊予鉄道博物館
 私は里帰り直後に一度見に来たことがあるので、3年ぶりです。海辺に、しかも屋根なしで置かれているので、傷んでいるのではと思いましたが、多少塗装がはがれ錆が浮いているものの、状態は良好でした。扉は開けられていて、車内には大型のクーラーが据え付けられており、休憩所として利用されていました。
伊予鉄道 1001号
 こちらは以前に使ったことがある画像ですが、伊予鉄道で現役だった当時の1001号です。今も車内には松山時代に設置された俳句の投書箱や運賃案内など、松山で活躍した電車である証がとどめられています。瀬戸内海をはさんで、約45年にわたって走り続けた電車、故郷でいつまでも大切にしてやってほしいものです。
 このあと広島市内に戻って、少し銀塩カメラでモノクロ写真を撮って、軌道の移設工事が行われている海岸通付近を見て、帰りました。それらはまた、別の機会に。