福井鉄道福武線存続のために

福井鉄道 モ886−7号

 福鉄福武線 自主再建は困難 県などに本格支援要請へ 福井新聞
 福鉄、鉄道存続困難に 県と沿線3市が近く協議会設置 中日新聞
 福井鉄道:福武線で追加支援要請へ 「現状では存続困難」と、県と沿線3市に /福井 毎日新聞
 福井鉄道、自社単独の再建断念 県、沿線市に協議要請 産経新聞
 なかなか衝撃的な見出しが並びましたが、中身はもっと衝撃的です。つまり、福井鉄道は、金利負担と鉄道の設備投資で、このままでは会社として立ち行かなくなりかねないという内容です。一般的に言って、企業に負債があることは問題ではありません。負債に見合った資産があって、利益が出せれば企業として継続していきます。しかし、福鉄の現状はそうではないようです。今回の発表は鉄道の継続が前提になっていますが、鉄道を切り離せば、企業としては成り立つという含みは感じられます。言い換えると、純粋な企業経営の観点からすれば、鉄道関係の投資と赤字補填がなくなれば、すなわち、鉄道を廃止すれば、なんとかなるだろうという判断が前提になっているように思えるのです。岐阜の名鉄車を購入したときに、行政の補助を受けたばかりだから、鉄道の廃止とは言い出せないのかもしれないし、鉄道会社の経営者としての鉄道への思いもあるかもしれません。しかし、「福井鉄道 福武線の廃止を表明」であってもおかしくはない内容だと感じました。当面は親会社の名鉄と金融機関が支援するということですが、企業経営としては、非常に厳しいことに変わりありません。
 福井鉄道は昨年、沿線自治体に対して財政支援を申し入れたけれども、協議が成立していないという経緯があるといいます。経営情報を開示しなければ、赤字補填はできないというのは、それは行政の姿勢として正しいと思いますが、今回の発表を見ると、ただ赤字を埋めるだけでは、到底追いつかない状態のようです。
 仮に鉄道を切り離せば福井鉄道の経営が成り立つというのであれば、鉄道部門を第三セクター等で引き受けるという方法はあると思います。ちょうど加越能鉄道路面電車を手放して、自治体が万葉線株式会社をつくったのと同じことです。抜本的に事態を解決するには、その方向しかないように思います。その場合、当然、行政が資産を買い取るという負担をし、鉄道の経営と運行の責任をすべて負う覚悟をしてまでも、鉄道路線を残していく価値なり必要があるということでの意思を固めなければなりません。福井の場合はえちぜん鉄道の前例もあるし、そのLRT化のためには福井鉄道があることが前提になっていて、街づくりの基盤施設としての鉄道の役割も認識されていますから、福武線は不要ということにはならないだろうし、私はポテンシャルも含めた福武線の存在価値は、行政が負担してでも残すに足りるものだと思っています。
 あまり時間はなかったのですが、18きっぷはあるので、今日、福井へ行ってきました。画像は工事中の幸橋です。新しい橋の上にセンターポールが立って、軌道の設置も進んでいます。前に見えているのは、「トコモダケ」から「DoCoMo 2.0」に変わったと思われるNTTDoCoMoの広告電車です。現地で福井新聞を買いましたが、1面と社会面に福井鉄道のこの関係の記事が載っていて、2面には「未来へのレール」というえちぜん鉄道の特集が載っていました。福武線が「未来へのレール」となるのか、今回の事態は、たんなる費用負担の申し入れではない、大きな問題提起と受け止めなければならないでしょう。