富山ライトレールと技術など

富山ライトレール TLR0602号

 『鉄道車両と技術』から2回目、富山ライトレール編です。論文は2本あって、1本は富山ライトレールの人による事業概要紹介で、特に目新しいことは書いてありません。もう1本は富山ライトレールの技術的な紹介で、こちらは元新潟鉄工所の人によるものです。私はただのマニアなので、専門的な知識はありませんが、目に付いたことをメモしておくことにします。

  • この10年各自業者が取り組んできた技術の改良が、富山ライトレールでトータルシステムとして結実した。
  • 欧米で実績のある最新技術だけを取り入れ、新技術採用によるリスクを回避した。
  • 熊本市交通局が導入した樹脂固定式軌道を改良して採用した。
  • 車両が先進的設計であるため、日常の検査が短時間で終了するので、車庫は簡素化されている。
  • 検査建屋は2線しかないが、14編成を扱うことが可能。
  • 溝レールは将来を考え、富山地鉄軌道線車両をベースとした厚めのフランジに対応できるようにした。
  • レールは金属製締結装置がないので、舗装を撤去しての点検は不要。
  • レール交換以前に、レールの磨耗部分を溶接で補修する維持方式の導入を検討し、試験施工を準備中である。
  • 分岐方式は、欧州で実績の多い埋設型転てつ器を採用し、輸入した。
  • 信号保安装置の一部としてトロコンを用いないトラム対応システムを組み込み、軌道区間の単線部の保安装置として機能させている。
  • 景観を考えて設計すれば、ほとんどの人が景観を損ねるとは感じない架線構造を、富山北駅前大通に設置された新しい架線で実証できたと考える。
  • 各車両にはGPSを搭載し、管理所に位置情報等を送っている。

 一般向けの論文ではないので、個別には意味の分からないこともたくさんありますが、日本の実情を踏まえたうえで、欧米の新しい技術を取り入れ、新しいシステムを構築したということは分かります。新設のLRTができるならば、富山ライトレールの例を踏まえて、より新しい日本の路面電車のシステムとして、さらに進化したものが生まれることを期待したいと思いました。関係者の方には、お読みいただきたい論文です。
 富山ライトレール関係のニュースを2つ紹介しておきます。
 富山ライトレール「パスカ」にポイント制度 バス・駐車料金の支払いOK 北日本新聞
 富山ライトレールで接触事故多発 電光表示板設置へ 北日本新聞