被爆電車をめぐる物語

広島電鉄 652号653号

 太平洋戦争中に広島電鉄の運転手や車掌をしていた女学生の物語を原作にした「桃の実」という作品は、昨年都電の車内で上演され、今年は都電での再演のほか、長崎、広島でも上演されますが、その長崎公演の模様の記事がいくつか出ているので、まず紹介しておきます。
 長崎の路面電車内で熱演 広島の被爆劇「桃の実」 長崎新聞
 原爆:広島の被爆女学生の悲劇…長崎の路面電車で上演 毎日新聞
 路面電車内で被爆体験劇 朝日新聞
路面電車の車内という極めて限定された空間で演じられる、60年以上前に路面電車の運行に従事していた女学生の物語、とても興味深いですね。長崎での上演では若い人たちにも感動を与えたということがどの記事にも書かれています。今後、21日、22日は都電で、28日、29日は広島電鉄被爆電車での上演があります。すでにキャンセル待ちになっている回が多いようですが、詳細は主催者のサイトをご覧ください。
 http://www.rr.iij4u.or.jp/~mokele/
 次は映画で、こうの史代のマンガを映画化した「夕凪の街 桜の国」が7月28日から、広島では先行して7月21日から公開されます。
 映画『夕凪の街 桜の国』OFFICIAL SITE
原作は秀作として話題になりました。私も読みましたが、昭和30年の「夕凪の街」とそこに重ね合わされる10年前の記憶、そして現在の「桜の国」から振り返られる「夕凪の街」、登場人物が織り成すその微妙な時間的、空間的交錯が、究極的には読み手のイマジネーションに委ねられる非常に繊細な作品であったと思います。その繊細な感性が、映画化に当たって、どのような映像表現になっているのか、これもまた興味深いところです。そのあたりのヒントになっているのかもしれませんが、クライマックスのシーンは被爆電車の車内で撮影されたということだそうです。
 「夕凪の街 桜の国」の舞台、広島に行って見ませんか?(1) 「夕凪の街 桜の国」 Official Blog
 さて、昨年引退して広島市交通科学館で保存されている被爆電車654号は、この夏も車内の公開が行われます。
 被爆電車車内公開 広島市交通科学館公式サイト
 被爆電車については、何度も書いているので、今日は1年前の夏を思い出しておくにとどめることにします。
 広島電鉄 654号 ラストラン - 猫電車日記
 被爆電車 2006年夏 - 猫電車日記