地域公共交通活性化再生法について

富山ライトレール TLR0604号

 先週の金曜日に、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」いわゆる「地域公共交通活性化再生法」が参議院本会議で可決、成立し、11月までに施行されることになりました。
 地域公共交通活性化法が成立 日本経済新聞
 交通活性化再生法が成立 赤字鉄道の生き残り支援 東京新聞
 この法律については、すでに何度かふれてきました。市町村、事業者、道路管理者、住民等が主体となって協議会をつくって、「地域公共交通総合連携計画」を策定し、そこで定められた事業のうち、特に重点的に取り組むことが期待される事業(「地域公共交通特定事業」)として認定されたものについて、国が、法律上の特例措置を認め、あるいは計画策定経費支援、関係予算を可能な限り重点配分、配慮して支援するという仕組みです。
 「地域公共交通特定事業」の対象は、軌道運送高度化事業(LRT)、 道路運送高度化事業(BRT、オムニバスタウン)、海上運送高度化事業、乗継円滑化事業、鉄道再生事業で、認定されると、例えばいわゆる上下分離方式を採用するLRTであれば、当該事業者が軌道法の特許を受けたものとみなすという特例措置が認められることになります。
 あくまで地域の関係者を中心とした合意形成を前提として、その実現を国が支援するという形をとること、LRT上下分離方式による運営、ガイドウェイバスDMVなど、既存の法制度の中で想定されていなかったものについての対応が可能になるという点がポイントでしょう。特例を認めるということなので、既存の法令の枠組みは維持されていて、また、支援の方法も予算の重点配分ということで、これも既存の枠組みを前提としているわけですが、大きなところで、その地域でやっていこうと決めたことについて、国が支援をするという考え方を取り入れたことは、画期的であると思います。
 LRT関係では、富山地鉄の市内線の延伸・環状線化計画や、堺市の新規路線がすでに上下分離方式を前提として動きはじめています。今後、この法律に基づく協議会が設置され、計画が実施段階で入っていくことでしょう。公共交通ですから、住民も含めた関係者が合意ができなければうまくいかないことは、この法律がなくても当然なのですが、富山が堺がどのように事業化にむけた合意を形成していくのか、実践のリーディングケースとして、注目していきたいと思います。