福井鉄道200形の現在

福井鉄道 203号
 福井鉄道200形は1960年〜1962年にかけて登場した電車で、カルダン駆動の全金属製の車体を備え、当時、吊り掛け駆動の譲渡車両や更新車両ばかりだった福井鉄道にあって、生え抜きの新車だった彼らはピカイチの存在だったばかりでなく、全国の地方地鉄でもトップクラスの車両でした。200形は急行用車両として登場し、福井と武生間の都市間輸送のエースとして活躍します。
 それから40年あまり、福井鉄道は、廃止になった岐阜の低床車の大量投入という大きな転換期を迎え、在来車両の多くが引退しましたが、200形3編成は残りました。低床車の運行開始に合わせてホームが切り下げられているので、鉄道線での乗り降りにもステップを必要とするデメリットがありながら、ラッシュ時の輸送力は余人をもって替えがたく、比較的新しかった名古屋市営地下鉄からの譲渡車両とともに、福井鉄道の新時代を引き続き支えることになりました。
 再出発とでもいうべき門出に当たって、全面広告電車だった編成も一般塗装に戻されました。201号編成は旧福鉄標準色、202号編成は岐阜車と同じ福鉄新標準色、そして203号編成は、201号編成よりさらに1世代前の、急行用として使われていた時代の塗装、いわゆる急行色になりました。
福井鉄道 202号
 今日、福井まで行って見てきたのがこれらの画像です。上が203号編成で、かつての急行用ヘッドマーク兼前サボが復刻されていて、もともとの前サボ部分には「福鉄」と書いてあります。夕方普通電車として、武生新田原町の間を1往復しました。ガラガラと大きな電車が街をゆくさまは、ほんの1年と少し前まで当たり前の光景でしたが、今ではこれじたいが貴重な風景になりました。下の画像は武生新の洗浄線で休む新福鉄標準色の202号編成です。今日は出番はありませんでした。その後に旧標準色の201号編成が留置されています。
 3編成にそれぞれの時代の標準色をまとわせた気持ちとしては、やはり福井鉄道の歴史を築いてきた車両であるという思いがあるのでしょう。そして、これからも走り続けるという明確な宣言でもあるのでしょう。
 福井鉄道200形の塗装変更に関する、深夜急行さんとT.Shimadaさんの記事を紹介させていただきます。
 福井鉄道モハ200型近況 - 線路端日誌
 福井鉄道200形 デザインコレクション - T.Shimada's Diary
 おまけの動画です。踏切の音がカンカンとうるさいので、再生の際はご注意ください。このころ、急に雨が強く降って、ずぶぬれになりました。