広島の神戸市電 2007〜花の季節

広島電鉄 582号
 広島へ行ってきました。青春18きっぷがまだまだあるので、在来線日帰りですが、早朝濃霧のため電車が遅れ、広島着は予定よりも1時間以上遅く、かといってお好み焼きも食べないといけないし、忙しい1日でした。
 選挙が公示されると、広島電鉄神戸市電の582号に装飾看板を付けた花電車で選挙のPRが行われるのが恒例となっています。過去は省エネルギー週間とか、人権週間とか、もっと以前にはカープ優勝やフラワーフェスティバルでも、このタイプの花電車が走っていたようですが、現在は選挙前だけ、予備車として使われていて、土、日にはほとんど走らない582号に会うよい機会です。広島駅から1号線に乗って、どんな電車が走っているかなと観察してみると、1号線は4、5本グリーンムーバーmaxが投入されていて、5105号、5107号といったニューフェイスが活躍していました。広島駅前に頻繁に登場するので、すっかり広島の顔になった感じです。582号は期待どおり3号線の運用についていて、本通・紙屋町あたりで休日の繁華街を歩く人々への選挙のPRに余念がありませんでした。広島港まで582号に乗って、写真は広電前と、この画像の西観音町付近の平和大通りで撮りました。このあたりの桜は木によって7分咲きから5分咲きでしょうか。ちょっとお花見には早い感じでした。
広島電鉄 可愛川
 話は変わります。西観音町に向かうために2号線の宮島口行きの電車に乗っていました。観音町の次が西観音町、クランクになっていて、観音町を青信号で出発した電車は、たいてい西観音町の交差点の平和大通りに出るところの赤信号に引っかかります。そういうサイクルになっているのでしょうが、その間に車掌さんが車内を回って両替、カード販売なんかをするわけです。その信号待ちの間、私は後部扉のそばに立って、平和大通りの桜がどれくらい咲いているか窓越しに眺めていました。何となく背中に視線を感じたので振り返ってみると、やや年配の車掌さんがいて、「廿日市市役所前という駅から歩いて5分ぐらいのところの川沿いの桜が素晴らしいですよ。時間があったら降りてみられてください」と、唐突にではありますが、不思議なほど自然に私に言われたのです。別にカメラを首からぶら下げていたとか、手に持っていたというわけではないのですが、いつも乗っているお客さんじゃないなということは分かったのでしょう。そして、電車の窓から見ているのか、あるいは近所に住んでおられるのが、あの桜が見ごろになったなあと思っていて、車窓の桜を眺める私を見て、それを教えてあげようと思われたのでしょうか。これも「他生の縁」と思ったので、西観音町から再び電車に乗って、廿日市市役所前へ行きました。
 ほぼ満開の桜は、果たして見事なものでした。可愛川、「えのかわ」と読むらしいですが、その土手に並んだ桜は、遠くから花見客が来るというようなものではなくて、近所の人が、ちょっとお弁当を持ってお花見に来るような、そういう気さくな、それでいて確固とした存在感を示しながら、咲き誇っていました。ちょっと遠いのですが、いちおう広電電車を入れて撮ってみました。あの車掌さんがここをご覧になってはいないでしょうが、行ってきましたよ、見事な桜ですね、とご報告させていただきたいと思います。