新潟トランシス LRV国内生産体制確立へ

富山ライトレール TLR0602号

 石播系、加社とライセンス契約、新型路面電車を一貫生産 日本経済新聞
新潟トランシスは、カナダのボンバルディアから台車を購入してLRTを生産していたが、ライセンス契約をして技術供与を受け、自社生産に切り替え、車体から台車までほぼ一貫生産できる体制を整え、競争力を高めるというのが記事の内容です。
 新潟トランシス製LRVは、熊本市電の9700形にはじまり、岡山電気軌道のMOMO、万葉線アイトラム富山ライトレールポートラムと新世代の路面電車として、日本国内での実績を重ねてきました。もともと外国のメーカー、合併を繰り返して変わっていますが、今のボンバルディアの設計によるもので、主要部品が輸入品でした。熊本市電の2次車以降は電装品が国産になっているものの、やはり外国製の部品を使った電車だと、使う側の路面電車事業者としてはメンテナンスに不安があるようで、それが営業上不利な材料にもなっており、実際にアイトラムの長期運休などの実例がありました。今回、電車の主要部分である台車をライセンス契約による自社生産できることになって、トータルとして信頼性を高めることができるというわけです。
 超低床路面電車に使われている技術は、パテントでがんじがらめになっていると言われています。したがって、生産するためには、ライセンスを買ってくるか、パテントに引っかからないようなものを造らなければならないことになります。前者には新潟トランシス製のMOMOなど、後者にはアルナ車両リトルダンサーシリーズや近畿車輛三菱重工グリーンムーバーmaxがあります。もっとも、グリーンムーバーmaxでもブレーキ等の一部の部品は海外製品だそうですが。
 近車や三菱重工は海外に目が向いていると思われるので、純粋に国内向けでいうと、海外の技術を買ってくるという新潟トランシスと、既存の技術をベースにするというアルナ車両は対照的な戦略に見えます。一般的な鉄道車両は何百両のオーダーで生産されることを考えると、路面電車の国内市場は小さいといえます。競争して技術を高めながら、共存共栄でがんばってほしいものです。