海外に学ぶLRT

福井鉄道 モ884-884号

 ストラスブールの元交通政策責任者のアラン・メネトー氏という方が来日して、富山と福井で講演会とシンポジウムが行われたという記事があったので紹介しておきます。
 ICカード範囲拡大 森富山市長、循環バスなど想定 北日本新聞
 路面電車導入で活性化 福井のNPO、フランスの事例学ぶ 日刊県民福井
ストラスブールとかグルノーブルは、海外のLRTの紹介として、必ずといっていいほど、取り上げられる街です。私の理解している範囲でおおざっぱにいうと、市街地中心部から自動車を排除して、歩行者とLRTによる空間を作り上げ、公共交通の再生と市街地活性化を果たしたという事例です。メネトー氏という方は、それらの都市の交通政策責任者を歴任され、過去にも来日され講演会をされているようです。
 講演を聴かれた記者の受け取り方にもよるのですが、記事でのまとめとしては、富山では「富山での利用拡大のため、LRT優先信号の導入など利便性の向上が必要」、福井では「「路面電車の導入は都市交通計画の一要素でしかない」と指摘。都市整備を効果的に進めることや市民の協力を得るための努力も重要だ」となっています。
 自動車への依存度の高い日本の地方都市にLRTを導入するに当たって、海外での事例をそのまま持ってくるわけにはいかないのですが、記事でのまとめになっているような公共交通の利便性を高めるとか、総合的な都市計画の視点は大切なことだと思います。ついでにあえて言っておくと、私はマイカーと公共交通機関を対立するものとしてとらえるのではなく、機能的に相互補完するものであるという考え方に立たないと、広く住民の支持を得ることはできないのではないかとも思っています。
 他方、こんな記事もありました。
 名鉄3線復活への基金返金へ 継続困難と判断 岐阜新聞
このブログでは紹介したことはないのですが、岐阜の路面電車再生に向けて、募金活動というのが行われていて、、それが路面電車の復活は困難ということで、募金を返還する方向になったという記事です。昨年、路面電車復活のための特許申請が行われたものの、結局取り下げになった経緯を踏まえてのことのようです。募金を集めてその実績を背景に、再生運動の存在感を高めようという活動だったわけですが、結局大きな流れを呼び起こすには至らなかったということでしょう。