熊本電気鉄道の社会実験について
熊本電気鉄道がLRT化を想定した交通社会実験を12月に計画していることが明らかになったそうです。会員登録しないと見られないのをソースにするのはどうかとも思いますが、ここにしか出ていないようなので。
交通社会実験 藤崎宮線で増発や無料連絡バス 熊本電鉄 熊本日日新聞(閲覧には会員登録が必要)
内容を要約すると、こんな感じです。
- 実験の実施は12月24日(1日だけ)
- 運行本数を通常の上下59本から108本に増発、日中30分間隔を15分間隔とする。
- 終電を1〜2時間繰り下げ
- 運賃は上熊本線を除き、全線100円とする。
- 藤崎宮前駅への電車到着に合わせ、無料連絡バスを水道町経由で熊本交通センターまで運行する。
- 沿線ではパーク・アンド・ライドを実施し、シャトルバスを運行する。
1日だけということで、イベント的な意味合いになりますが、かなり大規模に行われるもので、潜在的な需要を掘り起こしてみるという意義はありそうです。
現在の熊本電鉄のターミナルである藤崎宮前駅は、市電の電停でいうと通町筋からアーケードを抜けて10分くらい歩かなければならず、公共交通のネットワークとしては不利な位置にあります。一昨年、熊本電鉄では、鉄道線のLRT化、軌道の延伸と熊本市電への乗り入れを提案し、行政の支援が得られなければ、鉄道を廃止することを表明しました。当時の熊本放送のニュースの特集を今でも見ることができるので、参考までに貼っておきます。画像をクリックすると動画がはじまります。
どうなる熊本電鉄延伸計画 熊本放送
前はなかったのですが、いつのまにか、熊本電気鉄道の公式サイトができていて、同社の主張するLRT化計画がまとめられています。
LRT化計画の概要 熊本電気鉄道
この計画は、既存の鉄道をLRTに転換するという点からは、富山ライトレールの事例に近いと見ることができます。2006年度末までに行政の支援について結論がなければ、と期限を切って事業者が鉄道の廃止を表明していることから、行政でもその後検討が行われていて、一部で地元説明会も開催されているそうです。おそらく最大の問題は、数十億から百億といわれる事業費の財源の確保で、新設の併用軌道の建設には道路特定財源を当てにするとか、いろいろ検討されているようですが、具体的なスケジュールを決めて事業化するには至っていないようです。
結局、事業費の大半を税金に頼らざるを得ないことになるので、LRT化事業についての住民のみなさんの合意形成が計画の成否を決めることになります。まだまだ紆余曲折がありそうですが、今回の社会実験によってし、熊本の都市圏の公共交通がどうあるべきかについて、理解が深まることを期待します。
今日の画像は、現在の熊本電鉄の「道端軌道」です。ここは民家や商店の軒先をかすめて、大きな電車がごろごろ走るので有名な場所です。