福井鉄道 モハ562のこと

福井鉄道 モハ562号

 金沢に帰還した福井鉄道のモハ562について書いておきたいと思います。この電車は、金沢から岐阜、福井へと移っています。来歴は資料によって違っていたりもしますが、およそこういう感じです。

車齢50年になりますが、比較的古い電車の多い路面電車業界では、特別に古いというわけではありません。福井鉄道に来てからは、1989年の福井市制100周年記念で市内線で運行されたほかは、鉄道の日などのイベントに使われるだけでした。しかし、2001年に福井駅前電車通りでトランジットモール実験が行われ、モハ562号が「すまいるトラム」として営業運転に使われることなって、一躍脚光を浴びます。
 中心市街地の活性化に向けたトランジットモール等社会実験 福井県福井市 国土交通省道路局
 実験日記帳 福井市役所コンパクトシティ推進室
 このときは名古屋鉄道からモ802号もレンタルされ、大きな電車が車をかきわけ走っていた電車通りを、路面電車タイプの電車がゆうゆうと走りました。3週間にわたる大掛かりな実験は、それまでなかったものだし、今後もそうないと思います。上のリンク先の総括にあるように、一定の成果を挙げたものの、商店の売上げ減少の懸念もあって、今日まで本格的なトランジットモールの導入には至っていません。しかし、この実験の後、電車通りは福鉄の単線化と歩道の拡幅、美装化が行われ、また、路面電車タイプの名鉄車の導入されました。社会実験によって、それらを受け入れる素地がつくられたとみることもでき、実験の意義は大きかったと思います。このときは、モハ562号が営業運転をした最後の機会でしたが、岐阜の後輩へバトンタッチする役割を果たしたのではないでしょうか。今日の画像はその社会実験の時のモハ562号です。当時、モ802号が福井鉄道に譲渡されるなんて、誰も思わなかったでしょう。わずか5年前のことです。
 先日の記事にトラックバックをいただいていますが、深夜急行さんが、金沢に戻ったモ2202号の様子を書かれている記事と、1989年のモ562号の画像を掲載されている方のブログを見つけましたので、紹介させていただきます。
 名鉄→福鉄の保存車・高柳(仮) - 線路端日誌
 ポン太の鉄道写真館 1989年・福井鉄道(8)モ562
金沢の路面電車も現存するものが少なく、岐阜、福井と渡って故郷に戻ったモ2202号にふさわしい保存先が見つかってほしいものです。
 今日のニュースは紹介だけですが、3つ。路面電車じゃないけど、今日の記事に関連して、北陸鉄道が引き取り先を探していた電車の保存先が決まったというもの、谷汲に保存されてる名鉄モ510の車庫入れイベント、万葉線の脱線関係の続報です。
 譲渡先公募の北鉄電車2両 かつて走った南加賀へ 加賀のNPO法人と能美市 受け入れ決定 中日新聞
 みんなで押して!丸窓電車 旧名鉄谷汲駅で車庫入れイベント 中日新聞
 通常運行を再開 脱線事故の万葉線 北日本新聞