札幌市電の集中改革プランについて

札幌市電 335号

 札幌市交通局のサイトに「集中改革プラン」というのが出ていました。「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」(新地方行革指針)の中で、自治体に公表を求めているものだそうです。地下鉄の分もありますが、ここでは路面電車について、取り上げます。
 札幌市軌道事業(路面電車)集中改革プラン(平成17年度〜平成21年度) 札幌市交通局公式サイト
札幌市電は、存廃問題について存続ということで一定結論を出し、あるいは路線延長も含めた再生が模索されているところです。今後、「路面電車活用方針」、「路面電車事業化計画」というものが策定されるという状況で、事業主体としての交通局がどのようなことに取り組んでいくかを示したのが、この「集中改革プラン」というものだと考えてよいと思います。
 項目として、経費の節減という観点からは、運転士の非常勤職員化、定員の削減、給与の適正化、増収という観点からは、ペイント電車(広告電車)の増車、一日乗車券の本格発売などが挙げられています。
 広告電車を増やして収入を上げるというのは、どんどんやればいいと思うんですけども、人件費の抑制を目的に非常勤職員を増やすというのは、どうなのかなあと思います。今時どこの会社でも派遣社員契約社員が増えていて、世の中の仕組みそのものが、アウトソーシングを前提に成り立っているくらいのことは知っています。私の勤めている会社でもそうです。路線バスの乗務員さんにしても、契約社員だったり、運行そのものが委託されている例はいくらでもあるでしょう。
 でも、とあえて言っておきたいのです。バスを引き合いに出したから、その並びで言ってみると、大型2種免許や自動車整備士の資格を持った人材は、一般労働市場からの供給が可能でしょう。しかし、電車の運転免許を持った人や、検車、保線、電気などの技能を持った人材は、事業者として正社員を養成し、職人的ともいうべき専門技術を承継していく必要があるのではないでしょうか。そういう趣旨で、すべてがアウトソーシングに馴染むものではないと思うのです。
 公営企業は、同種の民間企業に比べて、賃金の相場が高く批判の対象になることも多いです。適正化という名目での賃金切り下げもやむを得ない場合もあるでしょう。しかし、「合理化」できないこともあるはずなのです。小さな電車がトコトコ走っているだけで、一見バスと同じように見えても、路面電車は、バスとは比べものにならない巨大なシステムとして機能しているのですから。