「市電」について

神戸市電 交通局局章

 市電についてのエッセイのようなものが載っていましたので、これを題材に少し書いてみます。
 【暮らしと経済】始まりはいつも関西 市電 明治36年、大阪市営が全国初 産経新聞
はてなのキーワードの説明では、「市電」は「市が独自に運営する路面電車事業、またはその列車や車両のこと。・・・ 民間運営の路面電車も「市電」と呼んでしまう傾向にある。後者の用法も「市内電車」の略とみれば誤りではない。」だそうです。以前にも書いたことがありますが、市営であった歴史を持っていない路面電車でも、地元では「市電」と呼ばれている例もあるので、一筋縄ではいかないところです。今でこそ言いませんが、古くは「市街電車」という呼び方もされているので、もともとの「市電」の言葉の成り立ちからすると、そのあたりにルーツがあるのかもしれません。
 神戸市電の「女性専用車」についても、触れられています。日本初の「女性専用車」は、明治時代に今の中央線で設けられたとされていますが、大正時代の神戸市電にも「御婦人専用電車」があったそうです。『さよなら神戸市電』という本には写真が出ていて、大正9年10月に登場したこの電車には、花電車風の装飾がされています。その本によると、当時、電車が混雑していたので、買物に出る「御婦人」の足の確保を目的として、電気局と商店街の肝いりで生まれたとのこと。兵庫〜春日野道間に5台が運行されたそうです。「痴漢防止」ではないけど、趣旨としては、遠くないものもあったかもしれません。というのは、この翌年に3扉の大型ボギー車が登場し、中央の入口から乗ると、男性は前方へ、女性は後方へと誘導され、それぞれ前後の扉から下車するように車掌が誘導するようになって、「御婦人専用電車」は姿を消したとされているからです。
 画像は名谷に保存されている神戸市電のに付いている神戸市交通局局章です。この周囲の「稲妻」は、市電民営時代の神戸電気鉄道の社紋と同じで、中に神戸市の市章を入れたものが、神戸市電気局(交通局)へと引き継がれ、現在に至っています。