和歌山市電の保存車を訪ねて

南海和歌山軌道線321号

 貴志川線を見に行った日、和歌山市電、南海電鉄和歌山軌道線の保存車も見てきました。和歌山城にあるとどこかで見た記憶があったので、きっちり調べればよかったのですが、和歌山の街を歩いたことなかったし、行き当たりばったりもよかろうと、あえて調べずにJR和歌山駅からお城を目指して歩きました。幅の広い「けやき大通り」という道路は、かつて路面電車が行き交っていたはずですが、そのころの名残はもう感じられません。1kmくらい歩いたところで、角に中央郵便局のある交差点に出て、お堀とお城の入口が見えます。ふと左側を見ると、お堀のずっと向こうに大きな屋根の下に電車が置いてあるのが見えました。意外と簡単に見つかりました。
 電車の保存場所はお城の中ではなく、お城の側の「岡公園」という公園でした。画像の市電は南海電鉄和歌山軌道線の321号で、同じ公園内には「くまの」のヘッドマークを付けたC57型蒸気機関車も保存されていました。南海電鉄和歌山軌道線321号は1963年製、和歌山市電の廃止が1971年ですから、7年余りしか稼動しなかったことになります。7両製造されたうちの1両だけが伊予鉄道に譲渡されましたが、当時の伊予鉄の在籍車に比べると「近代的」すぎたこともあってか、あまり活躍することなく廃車になっています。数年前はじめて松山へ行ったときは、古町車庫に廃車体があったのですが、いつの間にかなくなってしまいました。
 保存車両はフェンスで囲まれているため、コンデジを網目に突っ込んでめいっぱい広角側で撮りましたが、これが限度でした。この電車の解説の看板になかなか含蓄のあることが書いてあるので、その一部を引用しておきます。

それが交通マヒのやり玉の第1番にあげられて東京や大阪やあっちこっちの都市で廃止になり和歌山市でも昭和46年3月31日の夜をなごりに惜しまれながら廃止になったのです。世の中はこうして移り変わるのです。どんどん移り変わるのです。

「昭和46年4月 和歌山市」の表示のある看板が立ってから30年以上、路面電車を都市の交通機関として、見直そうという時代になりました。この看板がそこまで見越したとは思えませんが、ある意味そのとおりで、どんどん世の中は移り変わるのです。
 その他の話題は長崎のランタンフェスティバルの恒例の花電車と札幌市電のフォトコンテストについて紹介しておきます。
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