京都のLRT(その2)

京福電鉄 26号

 先日、京都市LRTに関してまとめた報告書が出たという話題がありました。
 京都のLRT - 猫電車日記
id:k-583さんのところにも書いてありますが、その報告書を受けて、京都市が「小環状線」と「今出川線」について、具体的な検討を始めることになったそうです。
次世代路面電車 市中心環状と今出川 京都市方針 2路線で検討 京都新聞
とりあえず注目すべきことは、7路線から選ばれた2路線のなかに。報告書において「不採算路線」とされた「小環状線」が含まれているということです。私は常々公共交通に「採算性」というモノサシを当てて一義的にその価値を判断すべきではないと考えているので、「不採算路線」を検討対象にすること自体がおかしいとは思いません。運営にかかる経費のほかに建設費まですべてを料金収入で賄おうとすると、いくらLRTの建設費が比較的安かろうと、新規路線の建設などほとんどの場合不可能になるだろうし、一般財源を使って整備していくことが可能となるくらいの社会的コンセンサスがなければ、結果として既存道路の大幅な交通規制につながるLRTの建設などできないと思うのです。今後整備の方法や事業の枠組みが検討されていくのでしょうが、LRTに対する市民の合意をどのように取付けていくかがカギになるのではないでしょうか。特にこの「小環状線」のルートが事業として成立する前提には、強制的な自動車の流入規制措置が不可欠と感じられます。
 もう一つのルート、「今出川線」は京福電鉄北野線叡山電鉄叡山本線を接続してネットワーク化することに主眼があるような気がします。ひと昔前なら地下鉄で計画されたかもしれないものが、様々な時代的背景でLRTという形で出てきたという感じでしょうか。どうも観光面でのメリットが強調されているようです。こちらも十分に広い道路ではないので、自動車交通との関係は重要なポイントになってくるでしょう。
 端的に言って、現状の京都の街は、その交通事情を考えると、LRTに適した街ではありません。それでもこういう構想が検討されている背景には、商工会議所の提言とか市長選挙の公約とかいろいろなことがあるのでしょうが、いちばん大切なのは、将来的に京都の街をLRTが活躍できるような街にするような方向で考えていくのか、そして、そういう社会的コンセンサスが得られるのかということではないでしょうか。京都市民のみなさんには時間をかけて考えていただきたいと思います。今日の画像は、京都に今ある路面電車嵐電を貼っておきます。