坂道を駆け上がって

豊橋鉄道 3202号

 前畑から東田坂上にかけての坂道、石畳の軌道敷を駆け上がってくる電車も、豊橋の市電のハイライトシーンの一つになっています。豊橋には敷石の区間はあまりなくて、もしかするとこのあたりだけかもしれません。かつて東田には、東海道吉田宿の遊女たちが移転して形成された遊郭があって、路面電車のルート選定の大きな要素だったようです。もっとも今では普通の住宅地にしか見えません。
 画像の電車のモ3200形は元名鉄美濃町線モ580形で、もうすぐ豊橋で走り始めるモ800形の先輩に当たります。豊橋鉄道路面電車は、開業当初を除き歴代他社からの転入車両だけで運行されています。都電からの譲渡車両は、ステップの取り付けや台車の改軌などかなり手を加えられていますが、それでも新車を購入するよりはるかに安いのでしょう。そう考えると、赤字だといいながら、岐阜の路面電車には新しい車両が揃っていたように思います。名鉄が大企業だったから、新車投入も可能だったのかもしれません。
 故郷を追われた電車が歓迎されて新たな活躍の場を与えられる。反面、長年街の顔として走り続けた電車が静かに役目を終えていく。マニアとしては、ちょっとした感慨を抱いてしまいます。
 今日は豊橋鉄道の公式サイトからの情報を2つ紹介しておきます。まず、8月2日の800形登場にあわせて記念乗車券の発売されます。
 市内線800形運行開始記念乗車券 豊橋鉄道公式サイト
そして8月7日には赤岩口車庫(正式には「赤岩車両検車場」と呼ぶようです。)で、市内線の電車の全形式を並べて車両撮影会が開催されます。
 市内線電車撮影会 豊橋鉄道公式サイト
 今しか見られない新旧車両の並びになりそうですね。