街に溶け込む

広島電鉄 5008号

 被爆60年の特集の中の記事です。
 街に溶け込む路面電車<3> 広島に暮らして 街と市民の60年物語 読売新聞
 鉄道、とくに路面電車は身近なだけあって、ことさら「日常」を感じさせる存在だと思います。家の近所を走っている。それに乗って、学校や会社、買物に行って帰ってくる。そして翌日になれば同じようにまた電車が走っているということの繰り返し。何気ないことですが、そういう「日常」が原爆によって一瞬で失われる。しかし、また電車が走り始める。「日常」の一部が戻ってきた…。
 もうすぐ阪神・淡路大震災から10年です。もちろん原爆と地震はまったく違います。しかし、震災のときも電車が復旧したことが、「日常」を取り戻す大きな力となったことは、私の経験として確かです。だから、「一番電車は心の支えになった」というのもよく分かる気がします。
 「街に溶け込む路面電車」というよりも「人々の生活に溶け込む路面電車」というほうが適当かもしれません。