阪堺電車のお正月(その2)

阪堺電気軌道 モ168号、モ166号

 お正月の阪堺電車の見どころに、モ161形の大奮闘があります。1928年(昭和3年)から1931年(昭和6年)に製造された車両で、冷房が付いていないので、普段は冬場に1、2両出ているだけですが、正月三が日はたくさん出ています。近年何両か廃車になったものの、まだ10両以上在籍しているはずです。
 この電車、広電の570形と似てますね。570形のほうは昭和30年代に車体更新されているので、モ161形のほうがレトロな趣きがありますけど、大型の車体とまあるい屋根、小さな窓が、その時代の路面電車の特徴を伝えていると思います。もうこの時代の電車が残っているところは少ないのですが、阪堺電車は正月三が日だけに輸送のピークがあるという特殊事情のため、これだけまとまって残っているわけです。大型で輸送力があるので、これが2両続いてくると、かなりお客さんがはけます。
 もともと平野線で連結運転していたそうで、古い電車ですが、間接制御(ただし手動で加速を調整するタイプ、広電350形と同じ)なので、昔の電車というとイメージするガチャガチャいう大きなコントローラーは付いていません。でも車内はほとんど原型のままのようで、ディテールにいろんな発見があります。機会があれば乗って探してみてください。
 ところで、引退したモ161形のうち、モ171号は、製造元が田中車両だった縁で、その後身に当たる近畿車輛㈱で保存されています。一般公開はされていませんが、学研都市線の車窓から見えるところに置いてあります。
 171保存会 近畿車輛株式会社
 大事にしてもらっているようです。やっぱり鉄道車両製造会社には、電車の好きな社員さんがいるんですね。