阪堺電車上町線 住吉〜住吉公園最終日

阪堺電気軌道 モ161号

 昨日の雨は止んで、阪堺電車住吉公園駅最後の日を迎えました。100年に及ぶ歴史に終止符を打つ、その場面にやはり立ち会っておきたくて、人混みに紛れるのは好きではないのですが、行ってきました。
 住吉公園駅は2番線が「見学」コーナーとなっていて、詰めかけたマニアのために開放されていました。最終の出発に合わせて簡単なセレモニーがあるとのことでしたが、ここにいてもよく見えそうもないので、住吉の平面交差部に移動して、人垣の間から、もう二度と来ることがない場所へ最後の仕事にやってくる電車たちを眺め、自分なりに記録に収めました。
 新聞などで、「日本一終電が早い駅」とか「都会の秘境駅」などと紹介されてきた住吉公園駅ですが、それは廃止を前提とした減便の結果そうなったまでで、それまではそうではなかったと思うし、少なくともポテンシャルとしては天候が悪くても雨風に当たらず乗り換えができる都会のターミナル駅であったのです。
 近年、いやもっと前から、鉄道の駅と路面電車の駅を近づけて利便性を高め、交通結節点の強化といわれる取り組みが各地で行われ、また行われようとしています。今回の住吉〜住吉公園の廃止は、そのような大きな流れに逆行するものです。しかし逆行するから批判しようということではありません。ただ残念だという思いがあるだけです。ありもしないであろう夢など見ていられないことを改めて知らされました。
 最後の日、住吉公園行に充当された車両のうち、701号には定期券を模したありがとうの幕が、161号には行先標が取り付けられて運行されました。 
阪堺電気軌道 住吉〜住吉公園最終日
 本当の終電になった161号は10分くらい遅れていましたが、赤いテールライトと行先標はすぐに見えなくなりました。なんとなくすぐに引き上げる気分ではなかったので、しばらく界隈を歩いた後、住吉へ戻ってみると、廃止区間に工事用フェンスを設置する作業が始まっていました。