札幌市電ループ化工事の入札不調について

札幌市電 A1201号

  札幌市電のループ化工事の発注の件ですが、1月に入札不調で再度入札に付されたところ、再入札も成立しなかったそうです。
 札幌市電のループ化工事、また不調 再入札も成立せず 北海道新聞
見出しには「また不調」と書いてあるのですが、本文には「応札者がいなかった」とあって、つまりこの仕事を市役所の想定する金額でしたいという業者さんがいなかったということです。
 この工事だけではなくて、全国的に入札不調が相次いでいると新聞に出てたりもするのですが、一般的には、震災復興の需要などで、資材費、人件費が高騰していて、発注者の積算が年度ごとの単価によるため、付いていけないことが原因とされているようです。
 それはそうなのでしょう。しかし、入札という制度は、仕事をしたい人がたくさんいて、仕事を取りたいがために利益を削って競争するという前提で成り立っているのですが、そもそもその前提が成り立っていないのではないか、不況でリストラを繰り返している業者さんには、利益の薄い仕事をこなすだけの体力がないのではという気がするのです。特にこの工事は札幌市のど真ん中の交通量の多い道路上での工事ですから、施工条件の制約も通常の公共工事以上に厳しいであろうことが想定されるわけで、無理に取りたくない工事ではないかと思います。
 入札不調による開業時期への影響について、今回不調になる以前の10日の記者会見で札幌市長は次のように答えています。

入札が全部駄目になったわけではなくてですね、契約ができている部分もあり、また、最初にやらなければならない仕事と、後でもいいというものといろいろな段階がありますので、これらをしっかり組み合わせいたしまして、開業時期については、今のところ予定したとおりできるだろうというふうに期待をしているところであります。

平成25年度第19回定例市長記者会見記録/札幌市

 4月にもう一回入札するそうですが、工期や工程のやりくりが厳しくなると、余計に引き受ける業者さんがなくなることも懸念されます。もちろん発注者は専門家なので、手は打つと思いますが。