堺のLRT基本計画案の公表について

阪堺電気軌道 モ353号

 12月25日に堺のLRTの基本計画案が公表されました。
 東西鉄軌道(堺浜〜堺東駅間)基本計画(案)を公表!! 堺市
「関係者をはじめ、沿線の方々にいただいた意見を踏まえ」たもので、この後、説明会をしていくとのこと。概要をメモしておきます。
‐路線計画
 もともと堺駅前東口〜堺東駅(1.7km)の計画だったのですが、シャープの工場進出に伴い堺駅前西口〜堺浜(5.2km)が追加され、既設の阪堺線我孫子道浜寺駅前(7.9km)も加わって大きな計画になりました。新設区間の電停は13箇所。
‐事業スキーム
 公設民営、公有民営、堺市が施設と車両を保有し、南海・阪堺が使用料を支払って営業を行う、いわゆる上下分離方式がとられます。「下」が持つ範囲は事例によっていろいろですが、車両まで公有とするのは、「下」の範囲が広い事例で、要は「上」が民間事業として成り立たないといけないので、どこまで「下」が妥当かという線引きは難しいところです。ともかく、南海・阪堺を計画に取り込んだことは、この計画がうまくいくとしたら、勝因の一つといえるでしょう。
‐路線計画(大小路)
 新設の1.7kmについては、大小路シンボルロードの歩道を確保し、自動車は西行き一方通行、軌道は片側に2本を寄せるか、歩道沿いに敷設する計画になっています。歩道側に軌道を敷設するのは、沿道利用、自動車の右左折(西行き一方通行なら右折)、地下埋設物の関係など課題が多いでしょう。それをあえて計画に盛り込んでいる志の高さは買いたいのですが、運行までの期間が限られていることを考えると、関係者との事前調整がどれくらいできているのかも気になります。あと「にぎわい」を重視しているようですが、そのためには人が集まる「しかけ」が必要ではないでしょうか。電車と空間を整備するだけでは人が集まる動機にはならないように思います。もっともそれはLRT推進室の仕事の域を超える話ですが。
‐運行計画
 8往復/時間というのは、7.5分おきってことですかね?もっと分かりやすく表現したほうがいいと思いますが、そうだとすると、昼間の時間帯で堺駅前東口〜堺東駅が7.5分おき、我孫子道浜寺駅前が15〜20分おき、堺東駅前〜我孫子道浜寺駅前がそれぞれ20〜30分おき、料金は200円均一が基本となっています。
 運行事業者との協議によるとなっているので、まだ決まったものではないようですが、できれば15分に1本はほしいところです。
‐施設計画
 18m級架線レスLRVを基本、車庫は我孫子道を借用とのこと。現在商品として売られている架線レスの電車は川崎重工のSWIMOしかないので、おそらくそれを想定していると思われます。川重が作っている標準軌のSWIMO試作車はやはり堺向けのようですね。
‐ 阪堺線
 LRV車両(相互直通分を含め14両)の導入、電停のバリアフリー化、併用軌道区間の改修(軌道緑化)などが挙がっています。こちらの方は既設の架線を撤去するということではないようです。とすると阪堺線専用車両はSWIMOではないのかもしれません。
 ざっと見てみました。なかなか意欲的な計画だと思います。あとは実際の沿道のみなさんその他関係者との調整や、「こんなんに何十億もかけんでええがな」という意見は当然に出てくるとか、まだまだいろいろあるでしょう。でも、計画案が固まり、具体的な姿が見えてきたことは、実現に向けた大きな一歩と評価していいのではないでしょうか。