惜別 富山地方鉄道デ3533号

富山地方鉄道 デ3533号

 富山地方鉄道の事業用車両デ3533号が引退するため、記念撮影会が行われるということで、日帰りで富山へ行ってきました。デ3533号については、以前にも書いたことがありますが、地鉄市内線で活躍した2軸単車の唯一の現存する車両で、旅客用として退役してからおそらく40年近く、凍結防止剤の散布用車両として、冬季の運行を支えてきました。今般、凍結防止剤の散布を自動車で行うこととなり、引退することになったそうです。全国的にも貴重な2軸単車だけに、趣味的にはとても残念ですが、時代の流れと思うほかないでしょう。
富山地方鉄道 デ3533号
 撮影会は南富山駅で受付、貸切電車に乗って車庫へ移動し、約2時間あまり猛暑のなか開催されました。デ3533号は、形式写真が撮れるように単独で置かれたり、他の7000形や8000形の電車と並んで置かれたりと、いろいろな写真が撮れるように配慮されたものでした。参加者は数十人でしょうか。地味な裏方の仕事にすっかりなれていたデ3533号にとっては、これだけの人々に取り囲まれるのは、久しぶりだったでしょう。たぶん市内線でお客さんをせっせと運んでいたころ以来かもしれません。車内も見学でき、座席は取り払われ、凍結防止剤散布用の器具が積まれていました。
富山地方鉄道 デ3533号
 デ3533号は、私のささやかな趣味活動のなかでも、とりわけ忘れがたい車両です。デ3533号のことをはじめて知ったのは、例によって『路面電車ガイドブック』だったと思います。南富山駅に待機しているのを何度か見て、走っているところが見たいよなあと思って、思い切って大雪の富山に出かけた2004年の2月、来る当てもないのに真夜中の道端で待っていた私の前にあなたは現れました。今日は暑かったけど、あの日は寒かったですね。あなたが仕事をする日は、いつも寒かったから覚えていないかもしれないけど。ほんとうに長い間お疲れさまでした。
 入替の様子の動画も撮りました。同じような場面ばかりですが、どうぞご覧下さい
 
 このような機会を設けていただいた富山地方鉄道の関係者の皆さんに感謝申し上げます。