福井鉄道再建問題 その後の動き(その14)

福井鉄道 モ773−4号

福武線再建スキームを確認 官民協 月末にも法定協設置 福井新聞
福井鉄道再建へ一歩前進 月内にも法定協議会 中日新聞
福井鉄道:福武線存続問題 社長「未払い退職金、完済」と報告−−官民協議会 /福井 毎日新聞
 知事が連休明けにも開くと言っていた、福井鉄道の再建に関する協議会が22日に開かれました。まとめておくと、緊急の問題となった未払退職金については、関係各位のご尽力で何とかやりくりをして払い終えたとのこと。また、借入金以外の「累積債務」のうち、名鉄が負担する約2億9000万円?は「時間をかけて処理していく」ことになったそうです。あとは、地域公共交通活性化法により「上下分離方式」が認められる条件となる法定協議会を月末を目途に設置するとのこと。
 この会合に先立って、沿線3市では、福井鉄道に対する支援として、合計1億2000万円を補正予算に盛り込むこととしたようです。
福武線再建スキームを確認 官民協 月末にも法定協設置 福井新聞
 退職金問題については、関係者のみなさんの努力で、直面した大きな難局を乗り切ったようで、頭の下がる思いです。名鉄が負担する「累積債務」というのは、初めて聞いた気がしますが、いや当事者間では最初から説明されていたはずですが、これは債務として残すということで、結局どうなったかというと、3月の退職金問題が浮上する前の状態になったということかと思います。だから、名鉄株の引受先も、埋まらない借入金の処理についても、課題としては残ったままであって、福井新聞の言うように「行政の存続支援の枠組みは事実上確定」とはとても言えないように思います。
 その流れで言うと、3市が福鉄への支援を補正予算で計上することにしたというのも、当事者として決められたことを実行するという決意を示したという意味では大いに意義があると思いますが、残る課題の解決に直接踏み込んだものではありません。「再建スキームを粛々」というフレーズが先日の福銀の頭取の発言と符合して、涙ぐましい感がありますが、3市が予算措置をして決意を示すことにより、今後、新体制に移行するまでの資金繰りに関しては、名鉄なり福銀なりが面倒を見てくれるであろうと期待するということのようで、これも果たして保証されたことなのか、よく分かりません。関係者が集まってこうすることにしたと書いてあるので、それなりの含みはあると思いたいのですが。
 県は福井鉄道の経営に参画しないと言っている。3市は何も言わないから分からないけれど、おそらく同じく経営参画する気はないでしょう。とするとこのあたりで、新たな福井鉄道の経営者となるべき人が登場しなければ、残すことにした名鉄に対する債務がどうなのか、借入金が残らざるを得ないとしてどうなのか、今集まっているメンバーだけでは、責任の負えない領域になってくるように思うのです。今回の報道を読んでみて、進められる課題は進めたけれども、難しい課題は残ったままになっているような気がしてなりません。