福井鉄道再建問題 その後の動き(その7)

福井鉄道 モ888−889号

 福鉄が福武線運行継続 名鉄、10億増資後に撤退 福井新聞
 福武線は自力存続 県内撤退の名鉄、10億円の資金援助案 中日新聞
 福井鉄道再建協 名鉄が10億円の支援提示 金融機関は債権放棄に難色 産経新聞
 福鉄鉄道事業を存続 読売新聞
 名鉄、福井撤退へ 福井鉄道株を年度内にも譲渡 中日新聞
 福鉄福武線に名鉄が10億円増資提示 朝日新聞
 福井鉄道:福武線存続問題 名鉄、10億円出資の意向 経営から撤退前提に 毎日新聞
 福井鉄道福武線、名鉄が10億円拠出後に撤退へ 日本経済新聞
 この問題について、久しぶりにたくさん記事が出ているので集めてみました。読み比べるとニュアンスがバラバラですが、15日に開かれた協議会の場で、名古屋鉄道から撤退を前提にした10億円の拠出(増資)の提示があったということのようです。方向性としては、会社としての福井鉄道をそのまま存続させるということも関係者の合意のようですが、三セク化もしないというし、かといって名鉄の株の譲渡先も明らかでない状況なので、これを「決まった」と言える状況にはないように思います。
 名鉄提示の10億円という数字は、名鉄の株主への説明責任という観点から、妥当な数字でしょう。仮に福井鉄道が利益を生み出せる事業体であるならば、これで会社として何とか存続できる水準になるはずです。しかし、現実はそうではありません。
 鉄道会社でいわゆる「倒産」をしたところがあります。高松琴平電気鉄道水間鉄道は法的整理をして再建を果たしました。それは借金が本業とかかわりのない百科店や不動産に起因するものであり、鉄道業は順調であったから、債務を処理して新しいスポンサーを見つけることによって、会社が存続できたわけです。逆にいうと、福井鉄道という企業をそのまま存続させようとすれば、福武線も含めた福井鉄道の事業が利益を出せるようにしてやる必要があります。
 名鉄が撤退することは、民間企業の論理としてやむを得ないでしょう。さらに10億円置いていきますというのだから、多くは求められません。このうえは、行政がどのような支援ができるのかが、福井鉄道という会社が存続できるかの焦点になります。具体的にいえば、上下分離方式を採用して、自治体が福井鉄道から鉄道資産を買い取ることにより、福井鉄道が運行に専念できるようにするなどの抜本的な方策が必要であると思います。