阪堺電車の堺市域の「公有民営化」について

阪堺電気軌道 705号

 阪堺電車堺市域の運営について、「公有民営化」方式で検討という記事が出ていました。
 阪堺線の堺市内区間「公有」で再生へ LRT新線と接続 朝日新聞
 阪堺線、堺市が一部所有を検討──阪堺・南海の提案受け、LRT含め「公有民営」日本経済新聞
朝日の記事には臨海部へのLRT延伸のことも書いてありますが、それは先日取り上げたので別にして、要するに堺LRT阪堺線と一体運営する南海・阪堺グループが、阪堺線についても、市が保有するよう希望しており、堺市と協議中というものです。
 朝日の記事にあるような阪堺線は線路がガタガタなので、新車が走れないから施設整備が必要という説明は、あまりに大雑把なもので、それだけでは納得し難いものです。しかし、阪堺線の整備に30億円必要という話は、すでに一体経営のプロポーザルの時に出ていて、新しい話ではありません。これの7頁に出ています。
 事業計画( 案) の概要 堺市役所
この30億円に大和川橋梁の架替費用が入っているのかとか、いずれにせよ中身の精査は必要ですが、今回新しい話は施設を市で保有してもらいたいというところです。検討中の案が、阪堺所有地の固定資産税を免除し、市が無料で借り上げて、南海・阪堺グループに貸す方法というのですから、阪堺の資産をお金に換えたいという理由でもなさそうです。
 おそらく、公の補助金で民間が施設を整備しても、減価償却しなければならないので、その負担を避けたいというのが理由ではないかと思うのですが、今回の記事の限りでは、明らかでありません。維持管理費の負担も関係しているのかもしれませんが、そのあたりがはっきりしないので、何となく市が押し付けられるという印象を受ける話に聞こえてしまいます。
 朝日は「方針を決めた」、日経は「協議中」ということで、微妙に表現は違うものの、方向としては、新設LRTも含め「公有民営」の方向になるのでしょう。その必要性と合理性を、分かりやすく市民に説明していくことが大切だと感じました。