新水前寺駅地区交通結節点改善事業について

熊本市交通局 1097号

 ちょっと気になる記事があったので、取り上げておきます。
工事:JR新水前寺駅と市電電停の接続、騒音など懸念 住民、県に見直し要望 /熊本 毎日新聞
熊本市電水前寺駅通電停とJR豊肥本線新水前寺駅をそれぞれ移設し、駅舎と電停を歩道橋で接続して接近させ、接続の改善を図ろうという事業があります。これはずいぶん以前から構想があったもので、昨年末に着工したそうです。「新水前寺駅地区交通結節点改善事業」という名称のようですが、ネット上を調べても事業概要がまとまって分かる資料はありませんでした。
 ところが、その事業に地元の反対があって、事業の見直しを求め、住民グループが2500人余の署名を事業主体である熊本県に提出したというです。この毎日新聞の記事によると、反対の理由はJRの線路の位置が住宅に近づくため、騒音・振動がひどくなるということ、歩道橋から電停に降りるエレベーターがスペースの都合で設置できなくなったため、車いす利用者や高齢者にとって利点が少なく、接続をよくするという利点がないということのようです。これに対して、県の言い分としては、JRの線路を移設しなければ、工期が伸び工事費が倍近くになるということが書かれています。
 公共交通の活用のために、いろいろな形で利便性の向上への取り組みが行われています。各地で導入が進むICカードもそうだし、この事業のような他の交通機関との乗り継ぎをしやすくするということも、各地で行われています。私はこういうことは、一般論としてどんどんやっていくべきだと思うのですが、この事業のほかにも、高岡の末広町の新電停のように、地元調整が難航し、なかなか具体化に至らないような事例もあります。
 この計画は詳細が分からないので、突っ込んでいい悪いは判断しかねるのですが、近所の人が、線路が近づいてくるからいやだというのは、分からないではありません。どう受け止めてよいか分かりかねるのは、見直しを求める2500人という署名の数で、親戚とか頼んだのかもしれないけれども、この事業がそれなりに広がりのある見直し運動に対応せざるを得ない状況になっていることです。
 詳細が分からないからといいながら、役所の肩を持つのもいかがなものかと思いながら、あえて書いておくと、おそらく仮線での運行を避けるために線路の位置を動かすと思われるので、そうであれば社会経済的合理性の観点からは一定の理由があると思われ、騒音等へのそれなりの対策も考えられているようだし、併用軌道上の電停は必然的にスペースが限られるので、豊橋の駅前のようなかなり敷地のあるところを別にすれば、エレベーターで降りられるところは思いつきませんから、著しく不合理な計画とも言えないのではないでしょうか。JRの駅そのものに、電停に直接接続しないエレベーターが付くのか定かではないですが、そのような対応をして、横断歩道で渡ってもらうのもやむなしのように思います。
 「理解を求める」ということなんですが、おそらく「事業の意義」には別に反対していないでしょう。何らかの妥協案がある得るのか、押し切るのか、かなり事業として進んだ段階にきているので、難しい選択だろう思います。