堺LRTの経営予定者の特定について

阪堺電気軌道 モ166号

 東西鉄軌道の経営予定者特定 産経新聞
 堺市の新型路面電車、南海と阪堺が共同で経営希望 日本経済新聞
 堺市:LRT経営予定者、「南海」「阪堺」グループに−−審査会提言 /大阪 毎日新聞
今日の新聞にはたくさん出ていました。堺市LRTの経営予定者を審査会が特定したというニュース、いちおうおさらいをしておくと、堺のLRTの事業者については、手続的には、まず公募して、有識者で構成される審査会で評価したうえ、堺市が最終決定するという手順を踏むことになっていて、すでに公募の段階で立候補者が南海・阪堺共同グループだけになっていました。今回は、南海・阪堺グループが事業者としてふさわしいという「お墨付き」を与えたということで、タイムスケジュールとしても予定どおりになっています。堺市の発表資料も見ておきましょう。
 経営予定者の特定 鉄軌道企画担当・鉄軌道推進担当 堺市役所
 PDFファイルの添付資料も含めて、ざっと目を通してみました。全体的な印象としては、ゴムタイヤがどうのこうのと言っていた頃に比べると、最近の各地の路面電車の様々な動向もにらみつつ、現実的な計画として提案されているように思いました。
 気のつくことをメモ程度に書いておくと、この提案の限りでは、直通運転が行われるのは、昼間帯9時から16時となっています。運行形態は不明ですが、阪堺線の電車の半分は堺東駅前に立ち寄る勘定になり、かなりの増発になるようです。ラッシュ時に直通がないのは車両数の制約も影響しているかと思いますが、乗客流動も考慮して、直通運転を拡大できればいいなあと思います。
 直通運転を行う場合の阪堺線の改良に約30億円かかるとあって、結構高くつくなと思いましたが、新聞記事に電停の改良等の費用とあるだけで、資料からは内訳は分かりません。このあたりの必要経費としてのアカウンタビリティは、今後求められることになるでしょう。 
 数字の根拠は、書いてあるからそうだろうなと思うだけで、検証できないし、幅を持っているのもやむなしかとは思いますが、毎日新聞の記事には「赤字が出た場合は市の補てんを求めており」とされていて、この点も議論になりそうです。他にもいろいろありますが、逐一書く余裕がないので、これくらいにします。
 例えて言えば、畑を耕して、肥料を撒いてという段取りが決まりつつあるという感じでしょうか。どんな種をまいて、どんな花を咲かせるのか。それは見えている話ではありません。富山ライトレールは、事業費の財源という意味で、例外的に恵まれていました。何十億単位の支出をしてLRT事業を進めていくことに関する市民の合意を、これからどのようにとりつけていくのか、先駆者のいないところへ、堺LRTは一歩を進めようとしています。