路面電車と均一制運賃

阪堺電気軌道 モ502号

 阪堺電車の運賃均一化社会実験を記念して、全国の路面電車で均一運賃で何キロ乗れるか調べてみました。路面電車新時代―LRTへの軌跡という本に最新のデータが出ているはずなので、簡単かと思いきやそうではありません。例えば、広島電鉄の150円で乗れる区間、市内線の延長は19.0kmあることは簡単に分かるのですが、たくさんの系統が運行されているので、150円で19.0km全部乗れるわけではありません。ということで、いちばん長い距離を走る系統の運行距離で考えます。これも乗換制度を利用すると、もっと長い距離乗れますが、そこまでは考えません。札幌市電はすすきのから西4丁目まで乗るお客さんがいるとは思えませんけど、これは運行系統が通しなので、それで考えます。ごちゃごちゃ言ってますが、要するに目安ということです。大人運賃も併記しておきます。

ちなみに、今回の阪堺電車の実験で均一化された場合を書いておくと、恵比寿町〜浜寺駅前14.1km、200円、南海電車浜寺公園から新今宮まで行くと、320円となります。
 これで何が言えるかというと、乗れる距離などというのは、敷設されている軌道の延長に規定されるので、数値で比較しても意味はないけども、都電がいちばん長く乗れるなということで、阪堺の実験はそれを上回ること。均一運賃の上限は200円ということ、長崎は破格の運賃設定であることくらいですか。わざわざ調べなくても分かっていたことばかりのような気もしますが、それは結果ということで。
 均一制に対して、例えば函館市電熊本市電のように整理券方式で運賃が上がっていくのを対キロ区間制といいます。路面電車の場合は、きっぷの発売を前提としないので、運賃収受の簡便さを重視して、均一制が多いのですが、この場合問題となるのは、短距離のお客さんの不公平感というか、割高感でしょう。サービスに応じた運賃という意味では、対キロ区間制が合理的ではあります。しかし、京福電車は数年前に均一制に移行したし、熊本市電のように均一制を目指した実験を続けているところもあって、やはり均一制が好ましいと受け取られているようです。
 最近の動向として、各地でICカードの導入が進んできており、これが普及すると、対キロ区間制でも、運賃収受が簡便になるということがあります。そういう周辺事情も考慮しつつ、社会実験としては、値下げによる減収を役所が補填しますということでよいのですが、阪堺電車の現状の路線が存続するとすれば、将来的にどのような運賃制度がよいのかも、考えておく必要もありそうです。
 ニュースをひとつだけ紹介しておきます。昨日ですが、グリーンムーバーmaxローレル賞授賞式がありました。
 超低床電車に「ローレル賞」中国新聞