阪堺電車の運賃均一化社会実験について

阪堺電気軌道 モ601号

 阪堺電車の運賃は、大阪市内と堺市内がそれぞれ均一制運賃となっていて、両市内にまたがって乗車する場合(連続乗車)は別運賃となっています。具体的にいうと、大阪市内だけなら大人200円均一で、あびこ道を越えて堺市内に入ると大人290円の運賃になります。これを全線均一200円にするという社会実験が10月1日から11月30日まで行われることになりました。主催は堺市阪堺電気軌道、2割の乗客増を見込んでいます。
 阪堺電車の運賃均一化社会実験の実施について 堺市役所(PDFファイル)
阪堺電車堺市内の路線については、乗客の減少を理由として、阪堺側から堺市に対して、確か2、3年前に廃止を前提とした協議の申し入れが行われています。今回の社会実験は、均一運賃制の有効性、課題を検証し、阪堺線の活性化に役立てることを目的としているそうです。確かに、現行の料金制度だと、あびこ道を越える短距離区間の乗車には、割高感があります。熊本市電でも均一運賃制の実験が行われていますが、今回の阪堺堺市の実験は、均一料金の適正水準を探るというよりも、実質的な値下げによって、どの程度需要の掘り起こしにつながるのかという観点で行われるとみたほうがいいでしょう。
 そういう意味で、先行き不透明な阪堺電車堺市内の路線の将来だけではなく、計画中のLRTの有効性の議論にも、この実験の結果は影響を及ぼしそうな気がします。