小さなトップランナー

長崎電気軌道 505号

 いわゆるビジネス書というのは、好きではないので、あまり読みません。そういうものから何かを得ようとするのは、すごく安直な気がするし、それを引き合いに出して講釈するオジサンにロクなのはいないという経験則もあります。ただ雑誌の類はときどき目に付いたものを買って読んだりします。それなりに面白いものです。
 今発売されている「日経ビジネス」という雑誌に「小さなトップランナー」という見開き2ページの記事があって、長崎電気軌道が取り上げられています。Web上に記事はないので、興味のある方は書店でどうぞ。
 タイトルは「ワンコインが運ぶ市民の信頼」で、長崎の路面電車がいかに危機を乗り越え、100円運賃を守ってきたかということが、「ビジネスの教訓」的な視点から書かれています。過去の経緯はよく知られていることばかりなのですが、今後の課題として挙げられているのが、少子高齢化による乗客減、新型車両の導入などサービス改善のための投資、消費税の再引き上げだそうです。消費税の導入、引き上げは企業努力で吸収していたが、次回消費税が上がるようなことがあれば、「値上げも検討せざるを得ない」とか。
 記事を読んでいると、ワンコイン運賃もそろそろ限界なのかなあという気もしてきます。長崎ではバス会社共通でICカードや「おサイフケータイ」が使えるようになっています。ちょっと古い記事ですが、参考までに。
 激戦地、ゆえの「FeliCa / おサイフケータイ対応」──長崎県バス協会に聞く ITmediaビジネスモバイル
両替機付き料金箱の設置など、値上げをするための費用も必要になりますが、長い目で見ると、そういう投資も計画的に進めておくという選択枝も合理的だと思います。最新の超低床車に、昔ながら料金箱が付いているのは、いかにも長崎らしく微笑ましいミスマッチではありますが。
 「路面電車の優等生が第3の難所に差しかかる」。いかにもビジネス雑誌らしい表現だけど、いいこと言ってますよね、たぶん。